LOGIN「逢沢。これ。オレなりにちょっとやりたい企画とかまとめてみた」部署でデスクワークをしていると、ヨッシーがそう言ってプロジェクトの資料を渡してくれる。「あっ、ありがと! 実はあたしもちょっとまとめてみたんだ!」そう言ってあたしも事前に用意していた資料をヨッシーに渡す。「おぉ。お前もこの量すごいな」「いや、だって自分の企画がカタチになるかもって思ったら、今までやりたくて温めてた想いがどんどん溢れてきちゃって」「わかる! オレもいつどんなことがあってもいいように、ずっといろんな企画考えてきてたんだよね」「うん。この資料見ればわかるよ」「まぁ新人の頃から考えてたやつも、とりあえず書き出してるからさ。夢物語みたいな全然可能じゃないやつも書いてあるけどな」「え、でもそれはそれで、今ならどこまで出来るかとかはなんとなくわかるしさ。その中で、どうすれば可能になるか考えようよ」「マジで? それだとオレは嬉しいけど」「もちろんもちろん。とにかくさ、うちらはまだまだ経験ないからさ、どんなのがいいとかわかんないし、もういいと思ったアイデアは出しまくろうよ」「確かに。オレらで考えててもどうかわかんねぇしな」「そうそう。まだまだのアイデアでもさ、どういうカタチかで引っかかって、ちょっとしたことでも採用してもらえるかもじゃん」「そうだな。とにかくオレもお前も今まで考えてきたやつ、全部出してみるか」「うん! そうしよ!」「でもまぁさすがに企画として出すのに、最低限きちんとしたカタチにはした方がいいかもだから、まずはそこまで考えなきゃだよな」「だね。としたら結構時間かかっていろいろ大変かも」「なら。お前さえ大丈夫なら、しばらく昼休みもメシ食いながら打合せしねぇ?」「あぁ。そっか。そだね。出来るだけちょっと打合せして進めたいもんね」「メシの予定的には大丈夫?」「あぁ~。桜子には、しばらく別になるって伝えとく」「悪いな。オレからも伝えとくわ」「ありがと」確かにプロジェクト提出期限は決まってる訳だし、そこまでに絶対間に合わせなきゃだもんな。でも時間がないから妥協したもん出すとかは絶対嫌だ!絶対納得したもの出したい!こんなすごいチャンス無駄にしたくない!しばらくはこの時間に費やして頑張らないと!たまたま今ルイルイの推し活しなくても大丈夫な時期でよか
「あぁ~やっぱり好きです」「ん? この仕事が?」「この仕事も、社長も、慧さんも。どれもです。そういう考えを持っている社長もやっぱり憧れて尊敬しちゃいますし、そういう仕事出来るのが楽しみで仕方ないです。でも、それって何より社長がそうやってちゃんと会社のことや社員のことをちゃんと考えてくれるからであって、その優しさがホントに素敵だなってすごく思います。それに何よりそんな人が自分の恋人で、そんな人が自分を好きになってくれて、今のまだまだのあたしを特別にしてくれる。こんなんどんどん好きになっちゃうの仕方なくないですか!?」「いや、オレに言われても(笑)」「だから、あたしは社長としても慧さんとしても大好きなんです! どんどん大好きが溢れてきちゃうんです!」「それならオレも、だけどな」「え?」「お前も自分で気付いてないだけでさ、オレを特別にしてくれてんだよ」「えっ、そんなの当たり前じゃないですか。社長は最上級の人ですよ? そりゃ特別ですよ」「いや、別にオレはそんなすごいやつじゃないから」「すごいですよ。それはきっと自分でそう意識してないだけです」「うん。確かにそうかもな」「っていうか、うちの会社の人たちはきっと皆そう思ってますし、世間でもそう思われてます」「まぁ、そう言われればそうかもしんねぇけど。でも、それはオレがそうしたくてそうしてるっていうか。自分が望んだカタチではあるんだけど。でも、なんていうのかな。それは、オレにとっては別に当たり前のことなんだよ。だけど、お前がさ、それを当たり前じゃなくて、特別なんだって、ちゃんと教えてくれるっていうか」「あたしが、ですか?」「そう。お前いちいちオレやること、そうやって言葉にしてくじゃん」「まぁそれが事実ですし、あたしにとってはそれが一つ一つ大切というか。それこそ、あたしは当たり前のことを言ってるだけですよ?」「うん。多分そういうことなんだろうな。オレにとっては当たり前だと思ってることが、お前は特別だって言ってくれる。そして、お前が当たり前だと思ってることが、オレにとっては特別だって感じられるんだよ」「……????」「フハッ。お前、全然わかんねぇって顔してんな(笑)」「いや、どういうことかわかるようなわかんないような……」「まぁ、そういうことだ(笑)」「え!? 教えてくれないんですか!?
「あっ! そうだ! 伝えたいことあったんです!」そして伝えようと思ってたことを思い出して、社長から離れる。「ん? 何?」そしてソファーの上に、きちんと座り直す。「何。改まって」「あの。あたし。社内で募集してる社長のプロジェクト、応募しようと思ってます!」「え、あぁ。あのプロジェクト。マジで? あれ応募するんだ」「はい! あれ、社内の人間なら、経験関係なく誰でも応募出来るんですよね!」「もちろん。今回はそういうの一切関係なく、誰にでも平等に挑戦出来るプロジェクトだから」「ですよね! プロジェクトにふさわしい企画を提案出来れば可能性あるってことですよね!?」「あぁ。今回のプロジェクトは、いろんな要素を入れたいと思ってるから、会社的にはそれこそ斬新なアイデアでも凝ったアイデアでもなんでも可能性を感じれば選んでいきたいと思ってる」「だから経験ない自分とかでもその可能性を少しでも感じるアイデアなら、もしかしたら選んでもらえるかもですよね!?」「そうだな。それこそアイデア的には、少し物足りないと感じても、経験あるメンバーで更にそれをブラッシュアップ出来れば、それこそいいモノになる可能性あるからな。そういうアイデアを出す人間がいたら、経験なくても十分プロジェクトメンバーになれる可能性もあるよ」「ですよね! あたしそれ聞いて、絶対応募したいって思って」「確かにアイデアだけじゃなく、どれだけこの会社やそのアイデアに情熱を持っているかっていうのも、大きく関わってくると思うから、そういう部分もちゃんと見ていこうと思ってる」「あ~! 会社に対しての情熱は自信あるんだけどな~!」「確かに。お前ならそこは十分クリアしてるかもだよな(笑)」「はい! でも。実際、あたし、まだ全然役に立ててないというか、自分のアイデアが形になったりとかっていうのはなくて。今の自分がどれだけ会社に貢献出来てるのかなって思います」「それこそまだチャンスがなかったのかもな」「ですかね」「まぁうちはしばらく最初はいろんなアイデアが生まれるように、いろんな勉強させてるからな。その分社内でデスクワークもあれば現場に出てもらったりもするし。だから経験を積んでいくにつれ、会社ん中で最初にやりたいと思ってた仕事内容と違う仕事がしたいってなれば、うちは全然部署移動もいつでも可能にしてあるし。だ
「なんかお前いつでも全力だよな(笑)」「それがあたしの取り柄ですから!」「確かに。それなかったらお前じゃねえしな」「だから。あたし。仕事でも認めてもらえるような人間になろうと思って」「ん? それはオレにってこと?」「もちろんです。あたし。仕事でもちゃんと頑張ってる姿見てもらって、中途半端な気持ちじゃないってこと、慧さんとしても社長としても知ってもらいたいです」「んなの言わなくてもわかってるよ」「でも。あたしの仕事ぶりはまだ社長には見てもらったことないですし、会社の人間としては、まだ全然役に立ててなくて……」「そんなのお前の年齢と経験では普通だし」「だけど。あたし、ホントに社長の仕事に憧れて、この会社に入ったんです。だから一日でも早く社長に近づきたいっていうか、一人前になりたいっていうか……。いや、あたしなんかが実際まだまだそんなレベルじゃないとはわかってはいるんですけど……」「それとこれは別だろ。別にお前が仕事出来るとか出来ないとか、そんなん重要視してお前と付き合った訳じゃない。オレはただここにいるお前に惹かれたから付き合っただけ。それに今のお前で十分魅力的なんだから、んな急いで背伸びしなくていい」「慧さん……」「っつーか、お前はまだまだこれから伸びしろがいっぱいあるってことなんだから、それはお前の強みでもあると思うけど?」「伸びしろ……ですか?」「そう。ある意味お前は年齢的にも経験的にも、仕事でも恋人としても正直まだ半人前だしな」「やっぱそうですよね……」「だけど。それは決して悪いことじゃねぇだろ」「そうなんですか?」「お前にはまだまだいろんな可能性が秘めてるってことだし。オレ的には逆にお前がこれからどんな風になってくのか楽しみだけどな」「ホントですか?」「お前はまだまだこれからどんな動きしてくか予測出来ねぇし」「迷惑はかけないようにはするつもりではいますが……」「オレにとってはさ。お前の全部が新鮮で刺激なんだよ。オレには思いつかないようなことだったり出来ないことだったりを平然とやってのけるから」「そうなんですかね……?」「だからお前といて面白い。これからお前が何やるのか、んでオレがその影響を受けて自分自身もどうなっていくのか、楽しみなんだよね」「じゃあ、あたしはこのままでいいってことですか?」「だからそう言っ
「今の……!」「ん?」「不意打ちキスってやつですか!?」「フハッ。なんだよそれ(笑)」「慧さん……そんなん自然にしちゃう人なんですね!?」「みたいだな」「みたいだな? ん? 自分のことですよね?」「自分のことでもわかんねぇことあんだろ」「いや、それはそうですけど」「ってか、オレも今知った」「今?」「そっ。オレこんなん無意識に出来ちゃうやつなんだって」「無意識、だったんですか?」「そう。無意識。お前がこんなことするからつい気付いたらしてた」「こんなことって?」「あんまいきなり、んな可愛いことすんな。オレも何するかわかんねぇ」「え、あたしはただ気持ち伝えただけで!」「どうやらそういうお前の無意識な言動が、オレも無意識に揺さぶられるらしいわ」え、え、え。どれが!? 何が!?今のどれに刺さった!?いや、何したら何してもらえんの!?「じゃあ、あたしがもっと好きだって伝えたら、もっと好きになってくれますか!?」「そうなんじゃねぇの? どうやらお前のその真っすぐで一途に伝えてくれるのが、オレに影響与えてるっぽいし」「そうなんですね! じゃあ、いっぱい伝えますね! 好きです! 大好きです!」「いやいや、そういう安売りしろっていうことじゃなくて(笑)」「安売りってひどっ!」「好きって伝え方もその伝え方によって響き方が違うってこと」「……わかんないです」「だろうな(笑)」「じゃあ、どうすればいいんですか~」「別にお前は気にせず好きなようにすればいいじゃん」「重く……ないですか?」「今更だろ(笑)」「でも。あたしも、ホントは、あたしが伝えなくても、いつか慧さんから好きだっていっぱい言われてみたいです」「言われたいの?」「もちろんですよ!」「すぐ照れるくせに?(笑)」「いや、それは……!」「なら、お前もそれいつ言われても平気になっとけよ」「り、了解です! 鍛えます!」「え、何鍛えんの?」「いきなりの不意打ちのトキメキに、いつでも太刀打ち出来るようにメンタルと心臓鍛えときます!」「あぁ、そういうことね(笑) なら、たまに抜き打ちテストでもやる?」「えっ!?」「初級から中級、上級まで一通り用意出来るけど? 」「え、なんかめちゃハードル上がってません!?」「それ合格しなきゃ、お前が望む好きはそんな簡
「無理です……!」「え?」「まだ……そんな贅沢なこと、どうしていいかわかんないです!」「贅沢って(笑)」「お付き合い出来ただけでも夢みたいなのに、独り占め……とか、そんな贅沢すぎて……」「フッ。大袈裟だな。付き合ってんだから、お前の好きにすれば?(笑)」「好きに!? いやっ! そんな恐れ多い!!」「何してもいいんだぞ? お前のもんなんだし」そう言って意地悪そうに微笑む社長。あたしのもの……。そっか、あたしのもの……なんだ……。そう言葉にすると、一気に付き合えた意味みたいなもんとか、それほど価値あるものなんだと、改めてその近い距離に胸が熱くなる。「じゃあ……」すぐそばにいる社長にそっと手を回して抱きついて、社長の身体に顔を埋める。「大好きです」社長に抱きつきながら、あたしは溢れてきた気持ちをそっと呟く。結局いつもこの気持ちと言葉に辿り着く。何度伝えても伝えきれない。何度だって伝えたくなるその言葉。きっとこんな言葉だけでは、その好きの大きさは伝わらない。だから何度でも伝えたくなる。すると。「知ってる」そう言って、社長があたしの顔を覗き込み。またフッと笑って。チュッ。わからないほどの早さで、一瞬唇を重ねた。