LOGIN「きっと、今までは自分の中でストッパーにしてそれを抑えるようにしてただけなのかもな。……って、あぁ、そうか。そういうことか」すると慧さんが自分で口にした言葉に、何か気付いたことがあるのか納得する。「ん? 何がですか?」「あぁ。多分それも自分の中で怖かったのかも」そして、またそんな気になる言葉を呟く。「え? また?」「うん。自分で抑える何か理由がなければ、多分オレはきっと依那を好きになりすぎる予感がしてたから」なんだ。そんな嬉しい理由なら、何も怖くなる必要なんてないのに。「それならいいことじゃないですか。 あたしは大歓迎ですよ!」あたしは、慧さんを日々好きになっていくけど、好きになっていくたび怖いなんて感じたことない。それどころか、もっとあたしと同じくらい好きになってほしいと思う。「多分。依那が想像してないくらいだぞ?」「えっ、どういうことですか?」後ろから抱き締めてくれている慧さんの手を掴みながら、少し後ろに顔を向けながら尋ねる。「ずっとこうやって依那に触れていたいし、ずっとこの腕に閉じ込めておきたいくらい」「フフ。いいですよ? ずっとこうやって抱き締め続けててください」「それだと仕事出来なくて困んだよな~」「えっ? そこまでですか?」「ずっとって言っただろ」「一緒にいる時だけかと思ってました」「いや。可能なら仕事中もこうしてたいくらい」「えっ!? 慧さんがですか!? そこまで!?」慧さんからのまさかの言葉に、あたしは驚く。「オレが何? おかしい?」「いや、だって仕事人間の慧さんが仕事中もとか……」「だな。仕事中も最近は依那のこと想い出しすぎてホント自分でも困ってる」「えっ……。そこまでなんだ……。でも、フフ。嬉しい」そんな時まであたしを想い出してくれてるとか幸せ過ぎる。慧さんが素直に伝えてくれるということを、嬉しいとは思ったけど。慧さんが一つ一つ伝えてくれるその言葉で、慧さんがあたしを想ってくれているのだと、しっかり感じられて、想像以上に幸せを実感出来る。「あっ、だけど、それで喜んだりしちゃダメですよね!?」「ん? なんで?」「だって、それで慧さんお仕事出来なかったら、影響良くないですよね……。でもさすがに慧さんはそこまでにはならないか」自分で言っててちょっと恥ずかしい。あたしじゃあるまいし、
すると。「ヒャッ!」首筋に唇が触れたのを感じて、思わずあたしは大声を上げてしまう。「フッ。なんて声出してんだよ。もっと色っぽい声出せないわけ?」すると案の定そんなあたしに笑って、慧さんがその声を指摘する。「いきなりでビックリしちゃって……」そんな急な不意打ちで来るとは思わないじゃん!「そっか。なら、不意打ちじゃなきゃ大丈夫ってことだよな?」「えっ?」すると、あたしの髪を片側にまとめて首を出し、後ろから首筋や肩に、一つずつ口づけをしていく慧さん。「んっ……」あたしは思わずその唇の熱を感じて、吐息が漏れてしまう。「フッ。ちゃんと色っぽい声出せんじゃん」そう意地悪っぽく言って、また何度も隙間がないくらい何度も唇を落とす。「ちょっ……慧さん……ズルいですぅ……」「ん? 何が?」あたしがなんとか反論しても、慧さんはクスっと笑って、そのままやめることをしない。こんな時も慧さんは甘く意地悪に笑って、だけど、愛しそうに優しくその唇で触れてくれる。「慧さん……。もう……心臓が……持たないです!」もう……! こんなの心臓が破裂する……!甘い慧さんは何度味わってもドキドキする。いきなりのこの対応は、さすがにどう反応していいかわからなくて戸惑ってしまう。「フフ。ごめんごめん。つい。依那が可愛かったから」そして、ようやくそれをやめ、抱き締める手はそのままで、笑ってあたしの言葉に慧さんが答える。「依那が近くにいると愛しさが溢れて止まらなくなる」「えっ?」「不思議だな。今まで我慢出来てたのが嘘みたいだ」「そんな……ですか?」慧さんの口から今まで言わなかったような言葉がスラスラと出てきて、あたしは思わず聞き返してしまう。「だから、今日も早く帰ってきた」「慧さん……」それって、あたしがいるから早く帰ってきてくれたってことだよね……。そんな風に慧さんの中で、あたしが今存在出来てることが嬉しい。「なんか違う人みたいですね?」あたしは嬉しいながらも、あまりにも今までと違う慧さんに伝える。「ホントはこっちだったのかもな」「え?」「なんか全部依那に受け止めてもらえるって思ったらさ。依那が好きだって気持ちも、どんどん抑えが効かないくらい溢れてくる」そんな嬉しい甘い言葉を後ろで優しく囁く。「会いたいって気持ちも、一緒にいたいって気持ち
そんな慧さんを見て、あたしは慧さんの元に移動し、慧さんが開いた膝の間にちょこんと座る。「なんでそんな前にちょこんと座ってんの?」少し慧さんと隙間が空いてるのが気になったのか慧さんが後ろから声をかける。「えっ、いや……」あたしはさすがにまだ恥ずかしくて照れてしまって、後ろを振り向かないまま答える。「もっとこっち」すると、慧さんはあたしの腰に手を回して抱き締めるように抱え、後ろのソファーにもたれかかっている自分の方にグイっとそのまま身体ごと引き寄せる。「うわっ」あたしは勢いよく後ろに引き寄せられたのにビックリして声を上げる。すると。「何。嫌?」後ろでしっかり腰ごと抱き締めながら、背後から肩越しにあたしの肩に顎を置きながら、下から見上げるように覗き込んで、あたしを見つめる慧さん。えっ、何この破壊力!!後ろからこんな風に抱き締められるのもドキドキだけど、この近さでこういう感じで密着されて見上げられるとか、心臓ヤバいんですけど!てか、この感じもちょっと可愛い慧さんで、更に心臓がキュンキュンと音を立てる。「嫌、じゃないです……。ドキドキがヤバいだけです……」と、あたしは早まる心臓の動きを感じながら呟く。「そっ。ならよかった」慧さんは安心したかのように嬉しそうに優しく呟く。「依那。いい匂いする」すると、あたしを抱き締めた慧さんがそんな言葉を呟く。「あっ、今ちょうどお風呂上がったとこなので。すいません。先に入っちゃって」「それは気にしなくていいって言っただろ。何時になるかわかんないから依那は好きな時間にゆっくりしてくれたらいいよ」「はい。ありがとうございます」「てか。逆にオレはこっちのがいいかも」「こっちって?」「疲れて帰ってきたあとに、先に風呂入ったいい香りさせた依那をこんな風に抱き締められたら、オレにとってかなり癒し効果になる」「フフ。こんなんでそんな癒せる効果あるんですか?」「あぁ。今すげぇ癒されてる」そう言って、慧さんは後ろから抱き締めたまま、あたしの首筋に顔を寄せて、穏やかに囁く。あたしはそんな近いこの密着した距離感にドキドキしながらも、ギュッと抱き締められた感覚がピッタリとこの身体も心もくっついているようで、幸せな気持ちになる。「あたしも幸せです」そして、あたしもその気持ちを素直に伝える。こんな風に何気
それから不思議なもので、何日か過ぎて時間が経っていくと、慧さんの騒がれてた話も、他にすぐ話題に上がったニュースなどにかき消されていった。元々芸能人というわけではないから、騒がれ方もまぁそこまででもなく。それどころか逆の話題でまた注目を浴びることになった。それまで騒がれていたような、そんな個人的な確証もない、くだらないスキャンダルではなく、もっと大きな仕事として、更に慧さんが社長としてすごい人なのだと世間が認知したのだ。それは大型フェスやイベントでの飲食店のプロデュースや監修だったり、人気ある海外アーティストが新しく出店する際の全面プロデュースだったり、新しく計画されてる大型施設の飲食店プロデュースだったり。いくつもの今後控えてる計画を今取り掛かっていることを慧さんは発表した。すると、それぞれについてるファンや注目している人たち誰もがそれを期待する声や楽しみにしている声が上がった。実際そのタイミングで、直接慧さんが関わっていた有名人の新しくプロデュースした店がオープンになり、その本人もファンも絶賛して満足している声が連日上がっている。そんな日々活躍している慧さんをまた知ることが出来て、更にあたしは慧さんを尊敬し好きの想いが大きくなる。ただあたしは今そんな慧さんの下で働けること、彼女として一緒にいれること、今自分がいられるこの状況に、改めて毎日幸せを実感している。だけど、そんな慧さんだから前と忙しいのは変わらなくて。慧さんが早く帰れる時間も少ないけれど、慧さんとこの前ちゃんと気持ちを確認出来たからか、会えない時間が少ないのは確かだけど、会いたい恋しさはあっても、会えない寂しさは少なくなった気がする。すべて前向きに考えればいいことなんだよね。一緒に住んでるんだから、慧さんが帰ってきた瞬間にあたしは慧さんに会える幸せがすぐに待っている。一緒にいられる時間は、その時間めいいっぱい慧さんを感じられたらいい。その時間だけは、あたしが慧さんを一人占め出来るんだから、それだけで幸せ。うん。一つ一つそう考えていけぱ、寂しいという感情は幸せという感情に変わっていく。どれも考え方一つで全部幸せに変えられるんだ。そう思えば家で慧さんを待つ時間も、慧さんが帰ってくる楽しみな時間に変わる。「あれ? 慧さんもう帰ってきてたんですね」早めに帰宅していたあた
「まだまだですね」「え?」「あたしの慧さんへの愛を全然わかってないです」「依那」「どんなことがあっても、あたしは慧さんを好きになっていく一方です。カッコいい大人の慧さんも、弱みを見せてくれる慧さんもどんな慧さんも愛しいって思います。あたしが支えたいって思うし、守ってあげたいって心から思います」だから、それなら、今、あたしがその不安を取り除いて、もっと慧さんにこの想いをこの愛を伝えるだけ。今あたしを信じてくれている・必要としていくれている慧さんなら、きっともうそれをわかってくれるはず。どれだけ慧さんが不安になっても、あたしはその度、慧さんにこの想いを伝え続ける。「フッ。どこまで強いんだ。依那……」「別に強くないですよ? 慧さんへの愛が大きすぎるだけです」そう言ってあたしは慧さんを見つめながら笑う。「フッ。依那は結局そうやってオレがどんな場所にいても、どんな状況でも、その想いを伝えてくれて満たしてくれるんだよな」「そうですよ。慧さんがどんな場所にいても、あたしのこの大きな愛で幸せな場所へと引っ張り上げます!」「うん。頼むな」「はい! 任せてください! あたしが一緒にいる幸せをこれからも慧さんにたくさん伝えていきますね!」「あぁ」そして、慧さんは、今までとは違う嬉しそうに優しい笑顔をあたしに返してくれた。ようやく慧さんとこうやって、本当の想いを伝え合うことが出来た。あたしたちは、まだまだこれから始まったばかりなのかもしれない。もしかしたら、まだまだこれからも知らない慧さんがいるかもしれない。だけど、これからも、その度、そんな慧さんと向き合っていけばいい。その都度、あたしの想いを伝えていけばいい。何があっても、あたしのこの想いは慧さんと共にあり続けるから――。
「うん……。依那はオレにとって光だよ」「光……?」「そう。暗闇にいるオレを明るく照らしてくれて引っ張り上げてくれる」優しく穏やかに微笑みながら、そんな言葉を伝えてくれる慧さん。「フフ。あたしそんなすごい人じゃないですよ?」「いや。依那はオレにとってそれくらい、いなきゃいけない必要な存在だから……」「だとしたら嬉しいです」慧さんがストレートな言葉で伝えてくれるのが嬉しい。そして、いつのまにか、慧さんにとって自分がそんな存在になっているのだと、嬉しくて胸がいっばいになる。そして慧さんは身体を離して、あたしを見つめる。「ごめんな……。こんな情けない姿見せて……」すると、今度は少し悲しそうに微笑む慧さん。「えっ、どうしてですか? 嬉しいです」「嬉しい……? こんなのが……?」不思議そうな顔をして慧さんが尋ねる。「はい。ホントはずっと甘えてほしかったんです」「甘える……?」「はい。というか、慧さんのそういう弱い部分とか本音を、ホントはあたしにも見せてほしいなって思ってました」「そうだったのか……?」「はい。きっと慧さんの中で、何か抱えてるものがあるんだろうなっていうことはわかってました。だけど、それを無理やりあたしから聞き出すことでもないし。慧さんがいつか自分から話したいと思った時、それを聞きたいって思ってました」慧さんが素直に伝えてくれる分、あたしも素直な今までの気持ち・今の気持ちを伝えたいと思った。でも、きっとこの言葉も今までのあたしだと、やっぱりまだ伝える勇気はなくて。自信も強さも今のように自分で感じることが出来なかったから。だけど、今はこの想いを、ちゃんと慧さんに伝えたい。そして、あたしがどれだけ慧さんを大切に想っているのかを知ってほしい。「そっか……。気付いてたのか……」「だから全然話してくれなくて、あたしもちょっと不安だったんですよ?」「え、不安?」「そうですよ。弱みも見せたくなくて、そんな大切なことを話したいと思うほど、あたしはまだそれまでの存在じゃないんだなって……」あたしを大切に想ってくれているのはわかっていたけど、でもそれはどこまでの気持ちかは慧さんにしかわからない。慧さんが全部を見せたいと思うほど、全部を知ってほしいと思うほど、あたしはまだそこまでにはなれてないんじゃないかと、正直どこか寂しか
「あの……慧さん」「ん?」「これから、もしこうやって、お互いなんか気になることあったら、ちゃんと今みたいに伝え合いませんか?」「あぁ……そうだな」「で。ちゃんと最後は今みたいに笑っていたいです」「あぁ、うん」「だから、最後はどんな状況でも、スキンシップするようにしませんか?」「え? スキンシップ!?」「あっ、毎回こういうキス……とかってことじゃなくて。今回みたいななんでもない時もあれば、それこそこれからもっとお互い納得いかないこととかもあるかもしれません」「うん」「だから、最後は、どこでもいいから触れ合って、落ち着きたいんです」「落ち着く?」「はい。そういう時って、多
ある朝。ベッドで目覚めて、いつも通りに支度する。だけど、時間が経つにつれ、なんとなく昨夜のことを思い出す。ん? あれ?? あたし昨日いつベッドで寝たっけ?昨日、確かソファーで社長の帰りを待ってて、いつもより時間遅いなって思ってたとこまでは憶えてるんだけど……。そっからどうした?社長にちゃんと”おかえりなさい”って言ったっけ??朝食の用意をしながら、どうしてもそこが思い出せない。なんか思い出せなさ過ぎて、悶々とする。そんな中、社長が朝食を食べにリビングに顔を出す。「おはようございます」「ん。おはよ」「昨日も遅かったみたいですね」「あぁ。ちょっとまたいろいろ立て込んでて
「あのさ」「はい」「今日夜食事に行こうか」「えっ!? どうしたんですか!? いきなり。っていうか今日お仕事そんな早く終わって大丈夫なんですか?」「あぁ。昨日全部調整したから大丈夫」「なら、行きたいです!」「うん。じゃあ、店予約しとくから、その店の場所あとで送るから直接来てもらってい?」「わかりました。嬉しいです! てか、お付き合いしてから食事行くの初めてですよね」「あぁ。そうだっけ」「はい。社長勉強のためにお店いろいろ連れて行ってくれるって言ってたんですけど、実際は社長忙しくて無理だろうなぁとは思ってたので。だから、それ憶えててもらえただけでも嬉しいです」「え? あぁ……
「逢沢。これ。オレなりにちょっとやりたい企画とかまとめてみた」部署でデスクワークをしていると、ヨッシーがそう言ってプロジェクトの資料を渡してくれる。「あっ、ありがと! 実はあたしもちょっとまとめてみたんだ!」そう言ってあたしも事前に用意していた資料をヨッシーに渡す。「おぉ。お前もこの量すごいな」「いや、だって自分の企画がカタチになるかもって思ったら、今までやりたくて温めてた想いがどんどん溢れてきちゃって」「わかる! オレもいつどんなことがあってもいいように、ずっといろんな企画考えてきてたんだよね」「うん。この資料見ればわかるよ」「まぁ新人の頃から考えてたやつも、とりあえず書き







