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冷めきった婚約者12・回想~10年前のこと~

Penulis: 煉彩
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-25 22:50:10

 ああ、どうしよう。

 高校生の時のように、普通に話しても良いのだろうか。

 私の気持ちが伝わってか

「今はプライベートだから。楽に話していいよ。俺も昔みたいに話すから」

 フッと彼が微笑んでくれて、心がスッと楽になった。

··、ごめんね。もう怒ってない?」

 私が名前を呼んだ瞬間、部長の瞳が大きくなった気がした。

「怒ってなんかいないよ。俺の方こそ、酷いことをしてごめん」

 彼は深く頭を下げてくれた。

「良かった」

 安心した。

「海斗のお父さんは元気?」

「ああ、元気だよ。···が急に家に来なくなったから、当時はすごく心配してたけど」

「そうなんだ」

 海斗の家に遊びに行った時、とても良くしてくれた記憶が残っている。

 そう、それは十数年前、私たちがはじめて出逢った時のことだった――。

 龍ヶ崎部長、当時は下の名前で海斗かいとと呼んでいた。

 海斗とは、高校が一緒だった。

 私は兄弟が多く、当時、自宅に帰っても勉強に集中できないという理由で、テスト前は学校の図書館をよく利用していた。

 図書館に行くと、必ず同じ場所に座り、勉強をしている海斗がいた。

<頭が良さそう……>

 第一印象はそんな感じだった。

 だけど、海斗が使っているペンケースに私が当時好きだったマンガのキャラクターが貼ってあって、そこで勇気を出して話しかけたんだ。

 私の周りの友達は男性マンガには興味がなくて、女性雑誌やコスメの話に夢中だった。

「あの、このマンガ、好きなんですか?」

 海斗は最初驚いた顔をしていたけれど「はい」そう返事をしてくれた。

 それから私はテスト以外の時も図書館に通うようになった。

 海斗は一つ上の先輩で、意外と家も近いことがわかった。

 そして私の予想通り、頭が良くて。苦手な数学をわかりやすく教えてくれた。

 恋愛感情は全くなくて<友達、お兄ちゃん>そんな存在。

 お互いに好きなマンガがゲーム化したことで、海斗の家に遊びに行くようになった。

 至って健全な付き合いで、ゲームをしたり、一緒にマンガを読んだり、勉強を教えてもらったり、お互いに親友のような存在だったんじゃないかと思う。

 遊びに行くと、海斗のお父さんにも優しくしてもらったのを覚えている。

「くるみちゃんと出逢ってから、海斗が明るくなったんだよ」

 そんなことを言ってくれ
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