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第111話

作者: ルーシー
人ごみの後ろに立ち、玲奈は舞台袖にいる智也の姿を間から見た。

何をしているのかは分からない。

だが、こうして沙羅のそばに立ち続けるだけで、彼女を心の中心に置いているのが伝わってくる。

ピアノ演奏が盛り上がるとともに、周囲のざわめきは賞賛に変わった。

「さすが新垣社長、見る目がある。あの女性、美人なうえにピアノまで上手い。俺が女でも惚れるな」

「演奏が素晴らしいだけじゃなく、スタイルも抜群......神様はこの人のどこに欠点を与えたんだろうね?」

玲奈はそんな声を聞きながら、心の中で冷ややかに笑う。

みんなが褒め称える沙羅――しかし、彼女は自分と智也の結婚生活を壊した張本人だ。

美しい容姿の下には優しい心などない。

拓海も、その言葉に不快感を覚えていた。

本来智也の妻は玲奈なのに、ここにいる誰もそれを知らず、沙羅だけを「特別な存在」と認識している。

玲奈はこれ以上この場にいたくなくなり、背を向けて歩き出そうとする。

だが、拓海が一歩先に進み出て、その行く手を阻んだ。

顔を上げ、玲奈は眉をひそめて問いかける。

「......あなたも、私のことを笑いに来たの?」

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煌原結唯
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