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第339話

Author: ルーシー
拓海は人波の中に立っていた。

背が高く、顔立ちも整っている彼は、ただそこにいるだけで目を引いた。

通りすぎるたびに、誰もが一度は振り返る。

そして、今――その注目の視線を浴びながら、拓海の目はただ一人の女性に向けられていた。

それは沙羅だった。

彼はその姿をじっと見つめ、口もとに薄く笑みを浮かべていた。

周囲の女性たちは、彼が沙羅を見ていることに気づき、次々と羨望の眼差しを彼女に向ける。

――まるで、選ばれたヒロインのように。

沙羅はその反応に、得意げに胸を張った。

羨ましがられる心地よさに、優越感がじわりと湧き上がる。

確かに、拓海は自分を拒んだ。

けれど、そんなの信じられない。

この私が、彼の目を惹けないはずがない――そう思っていた。

彼女は花のような笑みを浮かべながら、わざと甘い声で尋ねた。

「それで......須賀さんの大切な人って、誰なの?」

その瞬間、拓海の脳裏に、彼女が灯籠に書いた願いがよぎった。

――世界中の男たちがみんな私を好きになって、私のために命を懸けてくれて、そして惜しみなくお金を使ってくれますように。

思い出しただけで、吐き気
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