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第217話

Author: ルーシー
薫に慰められて、沙羅の気持ちは少し落ち着いた。

けれど、どうにも胸の奥にざらつきが残っていた。

かつて噂に聞いたことがある――

昂輝が修士・博士課程にいた頃、彼の周囲には一人の女性もいなかった。

そのため「男として正常じゃないのでは」と囁かれたものだ。

だが学の席で、沙羅と昂輝が顔を合わせた。

その夜、沙羅は医学の質問をいくつも投げかけ、昂輝は根気よく答えてくれた。

「滅多に花を咲かせないソテツが、ついに花を咲かせるように、ついに心を動かす相手を見つけたのかもしれない」

人々はそう噂した。

それ以来、医学界では「東昂輝は沙羅に一目惚れした」という話が流れ始めた。

沙羅自身もその噂を耳にし、いつしか彼が自分に告白してくるのではと夢想した。

けれど、現実は違った。

昂輝は何も言わず、むしろ彼女との距離を広げていった。

当時、沙羅は学部を卒業したばかり。

昂輝はすでに大学院を修了していた。

長い年月が過ぎても、沙羅は今でも気になる。

――あの頃、彼は本当に自分に心を寄せたことがあったのだろうか。

その後、彼女は智也と出会い、昂輝のことは忘れていった。

けれ
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