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第2話

Penulis: 木易 春
朝香はゆっくりと目を開け、祈人をまっすぐに見つめていた。

淡い茶色の瞳は、どこまでも澄んでいて、そこに映る祈人の顔はなぜか少し歪んで見える。

祈人は慌てて視線を外し、頭の中で考えていた言葉も色あせてしまう。

どこか落ち着かない様子で、そっとポケットから小さな箱を取り出した。中には、淡いパールのペンダントが静かに収められている。

「朝香、これ、昨日の約束を破ったお詫びだ。お前のためにちゃんと用意してきたんだ。

大人なんだから、細かいことは気にせず、許してくれよ」

祈人は、甘えるように朝香の腕を軽く揺すった。

いつもなら、こんなふうに祈人がじゃれてくれば、朝香は思わず笑顔を浮かべてしまっただろう。

だが今回は、どれだけ甘えても、朝香の目にもう以前のような輝きは戻らなかった。

しばらく耳を澄ませていた朝香は、目を細めて淡々と「うん」とだけ返し、体を背けてそのまま眠ろうとした。

祈人は一瞬、本当に夢の中で聞いた言葉だったのかとさえ疑った。

夜音との交際発表が会社の指示で、ドラマの宣伝のためのスクリーンカップルだということも、朝香には分かっている。

でも、ただ今回は本当に心が疲れ果てていた。それだけだった。

あと六日でこの場所を離れ、浜城市に向かう。その前にやるべきことを片付けなくてはならない。

朝香のそっけない態度に祈人は不安を覚えたが、食事や身の回りの世話を変わらずしてくれる姿を思い出すと、その不安もすぐに消えていった。

祈人は朝香の白い手を取って、自分の胸に当てる。

「朝香、夜音が前にお前をいじめたことがある。もし俺が本気であいつを好きだったとしたら、もう俺は人間じゃないだろ。

信じてほしい。夜音とはただの演技だけで、本気になったことなんて一度もないんだ」

かつての朝香なら、きっと素直に微笑んでくれたはずだ。

だが今回は、どこか虚ろな笑みを浮かべ、淡々とペンダントを受け取ってバッグにしまった。

「ありがとう」と丁寧に礼を言いながらも、どこか距離を感じさせる態度だった。

そして祈人の真剣な眼差しを見上げた瞬間、朝香の胸には鋭い痛みが走る。

その痛みは胸の奥にじわじわと広がり、心を静かに蝕んでいった。

あの頃、まっすぐに自分だけを見てくれていた少年が、名声に染まって少しずつ変わっていく――その現実を受け入れきれずにいる自分がいた。

祈人は夜音との関係を何度も否定していたが、朝香には分かっていた。

彼の思いは、もう夜音の方に傾き始めていることを。

彼が朝香に渡したパールのペンダントも、夜音に贈った高価なブレスレットを買ったときについてきたものだった。

祈人は「朝香を守るため」と言い、他の芸能人と連絡を取らせないようにしてきたが、朝香の人脈は広い。夜音がSNSでブレスレットを自慢げに投稿した写真は、すぐさま朝香のもとに届いた。

朝香はその話題をさりげなく口にする。二日前、ロケ車の冷蔵庫でブランド物のリップを見つけた。夜音が最近SNSにアップしていたのと同じ色、同じシリーズだった。

祈人はその瞬間、動揺を隠せなかったが、すぐに平静を装い、不自然な理由で責任をアシスタントの由紀に押し付けた。

「今度、由紀にはちゃんと言っておくよ。暑いからって、勝手に俺の冷蔵庫に口紅を入れるなって」

取り繕うように、祈人は朝香を抱き寄せる。大きな体で朝香を包み込み、首筋に顔を埋めると、さりげないフローラル系の香水の香りが微かに漂った。

低く甘い声で、優しくささやきながら朝香をなだめる。

「朝香は俺にとって一番大事な人なんだ。誰にもお前を傷つけさせたりなんてしない」

車を降りる前、祈人は名残惜しそうに朝香の頬に頬を寄せ、何度も振り返りながらその場を去っていった。

その後ろ姿には、まるで情熱を演じる俳優のような気配が漂っていた。

朝香は何も言わなかったが、口紅以外にも、ロケ車の助手席の隠しスペースで破かれたスポーツブラを見つけていた。

まるで誰かに見つけてほしいと言わんばかりに、肩ひもには「AY」の刺繍が残されていた。

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