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第65話

Author: 雪八千
玲をどうしても家に連れ戻して話をつけようと、雪乃はこの数日、何度も連絡を入れてきた。

けれど娘は電話に出ることすらせず、滞在先のホテルでも一切会おうとしない。

彼女を説得しようと訪ねた雪乃自身は、ホテルの支配人にまで冷たくあしらわれ、まるで追い払われるような屈辱を味わった。

――そして今日。

その「親不孝な娘」がようやく自分の足で戻ってきたのだ。抑え込んでいた怒りが、ついに噴き出す。

声を荒げる雪乃に対し、玲は静かな目を向け、淡々と瞬きを一つ。

「そんなに私に帰ってきてほしかったのね。何か用事でも?」

「……な、何かって……!」

雪乃の胸が大きく上下し、息は乱れ切っている。

「この数日の騒ぎ、ネットでのあの醜聞……!あんた、家族や世間にちゃんと謝る気はないの?」

「謝る?」玲は小さく笑った。「そうね、謝るべきことは確かにある。でも謝るのは高瀬家のほうじゃない?あんな卑劣なことをよくも仕掛けられたわね」

そのひと言で、場の空気が一気に凍りついた。

誰も予想していなかった玲の反撃に、雪乃の視界は一瞬真っ白になる。茂がいる前で、よくもこんなことを言えたものだと驚いた。

「何を言ってるの!高瀬家が何をしたっていうの?」

声は裏返り、悲鳴にも似た響きを帯びていた。

玲はゆっくりと茂に視線を向けた。人前では常に公平を装う彼の目を、まっすぐに見据える。

「茂さん、教えてあげたらどうです?あなたの息子が、何年も前に辞めさせた家政婦を呼び戻して、ネットの裏工作まで仕掛けたことを。

私を弘樹さんを誘惑した女だと仕立て上げて、世間の晒し者にしたことを。

そして――この家では何もなかった顔をして、母を不安と恐怖の中に放り出してきたことを。

……あ、もしかして、これが母を愛してるという証拠なんですか?」

今回の件、実際手を下したのは弘樹だとしても、茂がすべてを知らないはずがないと玲は思った。

高瀬家の当主でありながら、妻が連れてきた娘を追い詰めることに一片のためらいも見せなかった男――雪乃が信じていた愛情が、どれほど脆いものか、玲にはよくわかっていた。

雪乃の表情が凍りつく。夫への疑念が脳裏をよぎったのだろう。しかし、震える唇で彼女はまず玲の手を掴む。

「……玲、今はそんな話じゃないの。いいから教えて……弘樹さんとのこと、全部誤解よね?」

夫が
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