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そんな身内なら捨てちゃえば
そんな身内なら捨てちゃえば
Author: とじ

第1話

Author: とじ
妊娠7ヶ月のとき、私・林美雨(はやし みう)は死んだ。

私を殺したのは、夫の進藤臨也(しんとう りんや)だった。

早産児の血が私の妹・林優衣(はやし ゆい)を救えると知った彼は、ヤミ医者と結託して私を無理やり帝王切開して、お腹の赤ちゃんを取り出したのだ。

赤ちゃんから血を抜いたあと、彼はさっさと立ち去った。早産で生まれた我が子は、そのまま弱り果てて命を落とした。

その後、父・林健三(はやし けんぞう)と母・林由紀子(はやし ゆきこ)は言った。

「自業自得だ。償う時が来ただけだろう」

臨也は言い放った。「子どもなんてまた作ればいいじゃないか。優衣の方が大切だ」

私は激しい怒りと絶望でパニックに陥って、大量出血を起こしてそのまま息絶えた。

誰もが優衣の手術の準備に追われて、私にきちんとした死装束を着せる時間さえ惜しんでいた。宙に浮いた私の魂は、その光景をただ見下ろしている。

私のために泣いてくれる人も、取り乱してくれる人も、誰一人としていない。

家族は気にも留めずに私を霊安室へ押し込んで、そして家族総出で優衣の回復を祝った。

再び目を開けると、私は3ヶ月前、家族全員から離婚を迫られた、あの日に戻っていた。

……

豪華なリビングのソファに座って、目の前にいる見慣れた顔ぶれを見つめる。

意識が遠のく中、手術室で見たあの刺すような白い光が、まだ目の奥でちらついているような気がする。

母は涙ながらに訴える。「美雨、もう離婚届にサインしてちょうだい。これが優衣の最後の願いなのよ!」

彼女は私の向かいに座って、優衣の手をいとおしそうに握りしめながら、まるで罪人でも見るかのような目で私を睨みつけている。

窓辺に立つ父の表情も冷ややかだ。

「お前が突然戻ってきて臨也を奪ったせいで、優衣はうつ病になったんだ。これはすべて、お前のせいだ。

優衣はもう長くない。最後の願いも叶えてやれないのか?」

私は大きくなり始めたお腹を撫でながら、向かいに座っている臨也に視線を移す。

「私と離婚して、優衣と結婚したいの?」

臨也は疲れたように眉間を押さえる。

「優衣の病状は深刻なんだ。俺と優衣は幼なじみで、本来なら結婚するはずだった。お前が突然戻ってこなければ……」

「お姉ちゃんを責めないで!私なんか臨也と一緒になる資格なんてないの。お姉ちゃんに比べたら、私は……」優衣が泣きながら臨也の言葉を遮る。

彼女が涙で顔を濡らしながら臨也の胸に飛び込む。臨也は無意識にその細い腰を抱き寄せる。

「小さい頃からお父さんとお母さんに育ててもらって、臨也とも幼なじみだけど……でも私、本当の娘じゃないから……」

「そんなこと言わないで。私たちにとって優衣は実の娘なのよ」

母は胸を痛めたように涙を拭って、優しく優衣の髪を撫でる。しかし、こちらを振り向いた瞬間、その優しさは怒りへと変わって、私に向かって激しく怒鳴り散らす。

「美雨!あんた、お姉ちゃんのくせに、妹の最後の願いも叶えないなんて、本当に恩知らずね!」

「すべて優衣のためを思ってのことだ」そばにいる父の声には警告の意味が滲んでいる。「わがままを言うな」

臨也は優衣の耳元で優しく慰める。「優衣、俺を信じて。必ず盛大な結婚式を挙げて、君を妻にするから」

そして顔を上げて、鋭い視線で私を睨みつける。

「優衣はお前の妹だぞ。俺の知っている優しい美雨はどこへ行った?

本当の夫婦になるわけじゃないし、ただ優衣の最後の願いを叶えてやるだけだ。それも嫌なのか?」

手元にある離婚届に目を落として、紙を握る指がわずかに震えた。前世でも今世でも、臨也も両親も、いつだって優衣の味方だ。

もともと私と優衣は、産院のミスで取り違えられていた。そして私がこの家に戻ってきたのは、ほんの1年前のことだ。

やっと帰る場所ができた。愛してくれる家族ができた。そう思っていた。

だけど戻ってからというもの、のけ者にされて、冷たくあしらわれてばかりいる。

それどころか、家族全員が私を「優衣の彼氏を奪った女」と決めつけて、優衣のものを横取りしたと責め立てた。

地の果てまで探し回って私をこの家に迎え入れたのは、彼らの方なのに。臨也だって、しつこくアプローチしてきたから、私は彼と結婚したのに。
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