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人気俳優の失恋/貴方が捨ててよ

Aвтор: Kaya
last update Последнее обновление: 2025-07-25 06:17:00

 俺⃞か⃞ら⃞は⃞捨⃞て⃞ら⃞れ⃞な⃞い⃞か⃞ら⃞、⃞捨⃞て⃞る⃞な⃞ら⃞侑⃞さ⃞ん⃞か⃞ら⃞捨⃞て⃞て⃞よ⃞。⃞

 あの日も、俺を引き止める侑さんから逃げた。

 国民的人気俳優と言われていても、好きな人を前にすると無様だった。

 それと自宅マンションの付近で、俺や侑さんにひつこく張り付いているマスコミ関係者がいるのは分かっていた。

 背が高くて、いつも不自然に視線を逸らす。

 そいつは狡猾な目をして、いつも俺や侑さんの近辺を探っていた。

 だったら今が、ちょうどいいタイミングなのでは?

 結局侑さんも自分の自宅マンションに戻り、俺は俺で侑さんに一切の連絡も、会いに行く事もしなかったから。

 週刊誌やネットニュースで(綿貫昴生と常盤侑ついに破局か?)というのまで出ていた。

 これなら少なくとも、世の中の汚い連中から侑さんを守ることはできるから。

 でもそのやけに胡散臭い男はマンションの外に出た俺に接近してきて、ついに耳打ちまでしてきた。

 「綿貫さん。———あなたが常盤さんのストーカーをしていた、という噂があるんですよ。

 面白いとは思いませんか?」

 俺を脅すつもりか?

 あいにく今は、お前みたいな奴を健気に相手してる余裕がないんだ。

 「————それは脅しですか?

 もしそうだとしても……そんな証拠がどこにあるって言うんですか?」

 吐き捨てるように言ってやると、薄っすらと顎髭を生やした男は一笑した。

 「証拠がないとでも、思ってるんですか?」

 不気味に肩を震わしながら去って行く男に、俺は一抹の不安を覚えた。

 自分の事はどうだっていい。

 だけど侑さんを巻き込むことだけはしたくない。

 侑さんを巻き込むことだけは。

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