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人気俳優の溺愛/やがて春が来るように

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-08-13 19:02:00

 皆酔っ払って、リビングで眠ってる。

 私と昴生はほろ酔い気分で、ベランダに出た。

 夜風が気持ち良い。私が外に出ると昴生はすぐに私に上着をかけてくれた。

 「侑さん。ずっと言おうと思ってたんだけど」

 「どうしたの?改まって。」

 なぜか緊張していそうな昴生の手を取る。

 いつだってこの手は温かい。

 そう思って逞しい手を眺めていたら、逆に手を取り上げられて、指に何かがスッとはまった。

 キラキラと輝く、シルバーの指輪だった。

 多分いくつものダイヤが付いてる。

 私は驚き、すぐに昴生を見上げた。

 黒髪が風に揺れ、昴生の綺麗な瞳が輝いている。

 「昴生、これって………」

 「——————侑さん。

 俺に一生、飼われるって約束してくれたよね?」

 「言ったね…………」

 「それなら、俺と結婚しないとだよね?」

 「まさか、それってプロポーズ?」

 何とも大胆で。昴生らしい。

 「私、年上だよ?売れない女優だし。

 今はあれでも……この先仕事無くなったらどうするの?」

 「大丈夫だよ。社長の俺がそんな事させないし。

 それに、もし侑さんの仕事が無くなったとしても。

 それはそれで構わないよ。

 その時は侑さんは、ただひたすら3食昼寝をして、ブクブク太って、どうしようもなくなれば良いいんだから。」

 ……それ、他の人が聞いたら絶対いじられてるって思うだろうね。

 「醜い私でも愛せると?」

 「当たり前でしょ。

 だってどんな侑さんも、俺が愛する侑さんなのに変わりはないんだから!」

 そう言って昴生は嬉しそうに笑う。もう返事を聞いたみたいに。本当に子供みたいに。

 「私を一

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     私達があの後どうなったかと言うと。 実は八重樫が私を追い出したくて、嫌がらせや、業界に残れないように妨害工作を働いていた事が発覚し………何とか昴生と引き離したかったんだろう。 だけど、そんな時に昴生が言った。 「侑さん。芸能界が侑さんを捨てるなら、侑さんが芸能界を捨てればいい。」 「それって、どう言う………」 「俺、あの事務所を侑さんと一緒に辞める。 それで。 新しく事務所を作ろうと思うんだ。」 またいつものように昴生が、勝ち誇ったように笑った。相変わらず綺麗な顔で。 誰も昴生に敵う人なんていない、そう実感せずにはいられなかった。 「侑ちゃんがあの時、弟をブシャーって!」 「あははは、米本さん〜!分かりますよ、すごい迫真の演技でしたよね! 侑さんの殺意がもう何とも」 お酒が進み、すっかり出来上がってきた米本さんと鳥飼さんが盛り上がっている。 「こら〜!鳥飼。お前酔いすぎ。」 「何ですかー、佐久間さん?そう言う佐久間さんこそ、侑さんの演技見て泣いてたくせに」 「わ、バカ、鳥飼〜」 実はあの後、事務所を辞めた昴生が本当に芸能プロダクションを設立した。 小規模な会社だったけれど、昴生が社長というのは案外宣伝効果が絶大で。 しかもそこで私も女優として在籍してる。 さらには、昴生のマネージャーである佐久間さんと、私のマネージャーの鳥飼さんまで引き抜いてしまったのだ。 何だかんだありながらも、私達は充実した日々を送っている。 「皆、本当にありがとう。」 改まって私が頭を下げると。 昴生が真っ先に私に笑いかけ、言った。 「お礼なんていいよ。 皆侑さんの演技が好きで、侑さん自身が好きでこうしてるだけなんだから。ね。」 「そうですよ〜、侑

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