로그인午前10時15分。
中古レコード店に入った。
特に探しているものはない。
ただ、店先から昔好きだった曲が流れてきたから。
土曜の朝。
予定はない。
こういう寄り道ができるだけで少し嬉しい。
棚にはレコードがぎっしり。
ジャケットを見るだけでも楽しい。
奥の棚で、見覚えのある1枚を見つけた。
手を伸ばす。
同時に、横から別の手も伸びた。
「あ」
「あ」
30代前半くらいの男性。
グレーのパーカー。
少し寝癖っぽい髪。
休日感が強い。
「どうぞ」
彼が先に手を引いた。
「いいんですか?」
「僕、持ってるんで」
「じゃあなんで取ろうとしたの?」
「状態よさそうだったから見たかっただけ」
かなり好きらしい。
「これ、いいですよね」
午前8時40分。日曜の朝。私は港の朝市にいた。魚を買う予定はない。料理をする予定も、今のところない。ただ、朝早く目が覚めた。せっかくの日曜。二度寝に失敗したなら、いっそ外へ出よう。それだけ。市場は思ったより賑やかだった。干物。海苔。野菜。卵焼き。焼き魚の匂い。朝から全部おいしそう。私は小さな屋台の前で止まった。炭火で焼かれているのは、さば。皮がぱりぱり。脂が落ちるたび、煙が上がる。「食べる?」声をかけてきたのは、60代くらいの女性。頭に紺色の手ぬぐい。エプロン。「朝からさば?」「朝だからさば」最近、この言い方に弱い。「1つください」「ご飯いる?」「あります?」「あるよ」「じゃあ少し」「味噌汁は?」「それも」気づけば完全な朝定食。店の横に小さなテーブルがある。座る。目の前に海。いい。女性が焼きたてのさばを皿に乗せる。「熱いからね」「はい」ご飯。味噌汁。大根おろし。豪華。箸でさばをほぐす。湯気。一口。「おいしい」思わず声が出る。女性が遠くから、「でしょう」と返す。聞こえていた。隣のテーブルには、70代くらいの男性が1人。新聞を読みながら同じ定食。「ここのさばはうまいよ」突然言う。「常連さん?」「毎週」女性がすぐ言う。「毎週じゃない。月2回」「同じようなもんだ」「全然違う」夫婦ではないらしい。でも会話は夫婦みたい。「知り合い?」私が聞くと、女性が言う。「魚買いに来る人」男性は、「40年くらい」と補足。長い。「それもう友達では?」「違う」2人同時。息ぴったり。私は笑う。味噌汁を飲む。わかめ。豆腐。少し濃い。海の近くで飲むと、なんとなく正しい味がする。女性が別の客に魚を渡す。「焼きたてあと2枚!」声がよく通る。男性が新聞を畳む。「若い人、朝から来るの珍しいね」「眠れなかったので」「じゃあ得したね」「何が?」「焼きたて食えた」単純。でも本当だ。二度寝できなかった朝が、急に得した感じになる。「日曜は寝たいじゃないですか」「寝たけりゃ昼寝すればいい」また単純。「昼寝すると夜眠れない」「そのとき考えればいい」この市場、みんな先のことを考えない。羨ましい。さばを半分くらい食べたとこ
午前9時10分。土曜の朝。海沿いの小さな灯台へ来た。観光地というほど大きくない。でも、週末だけ朝から中へ入れるらしい。入口でチケットを買う。「上まで147段です」係の人に言われる。147。聞いただけで少し後悔した。「エレベーターは?」「ありません」笑顔。逃げ道なし。仕方なく階段へ。細い。らせん状。最初の30段までは平気だった。50段。少し息が上がる。80段。「誰が灯台行こうって言ったの」自分。100段。後ろから足音。少し速い。私は壁際へ寄った。「先どうぞ」声をかける。上がってきたのは30代前半くらいの男性。薄いグレーのパーカー。首から小さなカメラ。「大丈夫です。僕も休憩したかったので」隣で止まる。息が少し上がっている。「余裕そうに見えた」「見栄です」正直。2人で狭い踊り場に立つ。小さな窓。外に海。「あと何段?」私が聞く。彼が壁の数字を見る。「43」「数えるんだ」「終わり見えたほうが楽なので」「私は聞いて余計疲れた」彼が笑う。「じゃああと10段ってことにします?」「それは嘘」「難しい」少し休んで、また上る。なぜか並ぶ形になる。階段が狭いので、前後。最初は彼が前。「ペース速かったら言ってください」「今は大丈夫」20段。彼が少し振り返る。
午前7時20分。金曜の朝。私は高速バスの待合室で、紙コップのコーヒーを飲んでいた。今日は少し遠くまで出かける。旅行というほどではない。午前中だけ用事を済ませて、夕方には戻る予定。バスの出発まであと15分。私はコーヒーにミルクを2つ入れた。その瞬間。「まだ2個なんだ」聞き覚えのある声。顔を上げる。30代前半くらいの男性。カーキ色のコート。黒いリュック。一瞬、誰か分からない。でも彼が笑った。「忘れた?」「あ……直樹?」大学時代、同じカフェでバイトしていた人。1学年上。シフトがよく重なった。閉店作業も何度も一緒にした。卒業してからは、2回くらい大人数で会っただけ。それももう何年も前。「久しぶり」「何でここにいるの?」「バス乗るから」「それは見れば分かる」昔と同じ返し。思わず笑う。彼が私の紙コップを見る。「ミルク2個」「何で覚えてるの?」「賄いのコーヒー、毎回それだった」「そんなこと覚えてる?」「君、砂糖入れないくせにミルクだけ2個だったから」「変?」「ちょっと」失礼。「そっちはブラックだったよね」「今も」彼が持っているカップを見せる。本当にブラック。「変わらないね」「そっちも」朝から10年前に戻ったみたい。待合室には何人かいる。アナウンス。スーツケースの音。でも私たちは少し端へ寄り、立ったまま話した。「どこ行くの?」聞く。
午前7時50分。駅前の小さなスパイス専門店に入った。理由は、店先に並んだ瓶がきれいだったから。赤。黄色。茶色。緑。朝からカレーを作る気はない。でも、見ているだけで少し楽しい。「何か探してます?」声をかけてきたのは30代前半くらいの男性店員。白いシャツ。黒いエプロン。腕まくり。手元には小さな木のスプーン。「見てるだけです」「一番難しいお客さんですね」「買わないかもしれないから?」「何を勧めればいいか分からないから」正直。「じゃあ朝に合う香り」私が言う。「スパイスで?」「うん」彼は少し考えて、3つの瓶を出した。カルダモン。シナモン。クローブ。「朝ならこの辺」「コーヒーみたい」「コーヒーにも使えます」最初はカルダモン。彼が小さなさやを1つ割る。ふわっと香る。「近くで嗅いでみて」言われて顔を寄せる。爽やか。少し柑橘みたい。「思ったより軽い」「でしょう」彼も同じ瓶へ顔を寄せる。一瞬、距離が近い。同じ香りを同時に嗅いでいるだけ。でも、朝の小さな店で顔が近づくと、少し意識する。「これ好き」「顔に出てます」最近よく言われる。次はシナモン。「これは分かる」「じゃあ説明なし」「雑」「知ってる香りを僕が説明しても」彼が笑う。3つ目。クローブ。強い。「これはちょっと苦手」「じゃあやめましょう」
午前7時55分。図書館の返却ポストの前で、私は1冊の本を持ったまま立っていた。返却期限は今日。返せばいい。それだけなのに、少し惜しい。短いエッセイ集。全部読んだ。気に入ったページには付箋まで貼った。もちろん、付箋は全部外した。借りた本だから。「返さないんですか?」後ろから声がした。振り向く。60代くらいの女性。布のトートバッグに本が3冊。「返します」「今、かなり迷ってた」「気に入って」「じゃあまた借りればいいじゃない」簡単に言われる。「でも、次いつ借りられるか」「予約すれば?」「そこまででもない気もして」自分でも面倒だと思う。女性が笑う。「好きなのに、そこまででもないの?」「買うほどではないけど、返すとちょっと寂しい」「分かる」意外と分かってくれた。彼女もポストへ1冊ずつ入れる。すとん。すとん。最後の1冊だけ止まる。「あれ?」今度は私が見る。「そちらも?」「これは途中までしか読んでないの」「延長すれば?」「予約入ってるみたい」「じゃあ返さないと」「分かってる」お互い様だった。2人で本を持ったまま立つ。朝から何をしているんだろう。図書館はまだ開館前。返却ポストだけ使える。女性が本の表紙を撫でる。「昔はね、読み終わらないと返すの悔しかったの」「今は?」「途中でも返す」「もったいなくない?」「読みたいところまで読んだなら、それでいい本もあるよ」少し驚
午前7時35分。駅前のジューススタンドで、私はバナナジュースを待っていた。火曜の朝。特別な理由はない。家を出るのが少し早かっただけ。カウンターの向こうでミキサーが回る。その音をぼんやり聞いていたら、隣から声がした。「まだそれ飲むんだ」振り向く。一瞬、誰か分からなかった。白いシャツ。ネイビーのジャケット。大学時代より髪は短い。でも、笑ったときに片方の口角だけ少し上がる。「あ……健太?」同じゼミだった男。大学4年の1年間、よく一緒にいた。恋人ではない。でも、飲み会の帰りに2人になることは多かった。卒業してからは、最初の数年だけ年賀メッセージ。そのあと自然に途切れた。「久しぶり」「何年?」「10年くらい?」「そんなに?」「たぶん」朝から急に時間が巻き戻る。店員さんが聞く。「ご注文は?」彼がメニューを見る。「バナナで」私は彼を見る。「そっちもまだそれ?」「昔、君が毎回飲んでたから思い出した」「真似?」「今日は」その言い方が少し懐かしい。大学の近くにも小さなジュース店があった。私はいつもバナナ。彼はオレンジ。「昔はオレンジだったでしょ」「覚えてるんだ」「そっちこそ」2人とも少し笑う。私のジュースが先に出る。冷たいカップ。ストローを差す。彼が横から見る。「朝から冷たいの平気になった?」止まる。「何でそれ覚えてるの?」「冬、毎回『寒い』って言いな







