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日記01:少女と日記

Auteur: 久遠遼
last update Date de publication: 2025-10-09 15:02:23

 神は人に等しく与えると言う者がいる。

一方で、そんなものは存在しないと断じる者もいる。

俺は後者を否定しない。ただ、それでもなお前者の考えに寄り添いたい。

才能を持つがゆえに孤独に沈む者。才能がなくとも、人の温もりに囲まれて笑う者。

その差異はあれど、世界は不思議と帳尻が合うようにできている気がする。

そしてそれは、思春期の俺たちにも、例外なく訪れる真理だ。

だからこそ俺は、彼女を側で支えていかなくてはならない。

俺――雨宮直央(あまみやなお)――の一日は同じ屋根の下で暮らす――幼なじみの海堂(かいどう)エリカを起こすことから始まる。

彼女の部屋のドア前で、一度目を閉じてから静かに息を吐く。

新しい朝を受け入れる準備を整えてから、ドアを開け、一歩中へと足を踏み入れる。

ベッドの上では、エリカが安らかな寝息を立てていた。

カーテンの隙間から差し込む朝の光が、金色の髪を淡く照らし出す。

その姿は幻想的で、この世のものとは思えないほどの美しさを放っていた。

一緒に暮らして、もう一年以上。

それなのに、この光景を見るたび、初めて心を奪われた日のように胸が熱くなる。

「エリカ、起きろ。学校、遅れるぞ」

「ん……直央くん? おはよ~……」

ぼさぼさの髪のまま、眠たげな青い目をこすりながらエリカが顔を上げる。

「おはよう。……エリカ、日記、読んでみろ」

「日記? うーん……わかったぁ~」

エリカは、小さく首をかしげながらも、机の上のノートに手を伸ばした。

……彼女にとって、“自分が自分である”ための確認作業。

彼女は、最初のページを開いたあと、一瞬だけ、顔色を変えた。その後、しばらく無言で読み込んだ。

少しだけ身体を震えさせ、今日という新しい現実を受け入れ、素早くページをめくり始め日記の内容を確認していく。

ひととおり読み終えると、顔を上げ、にっこりと微笑んだ。

「今日やることは、わかったか?」

「うん! ばっちり! ありがと、直央くん!」

エリカは満面の笑みを浮かべてそう言った。

彼女は毎朝、まず日記を読んでその日の予定を確認する――そんな習慣を自分に課している。

……それを、俺がそっと教えるのが日課になっていた。

「なら、準備したら一緒に学校へ行くぞ」

「はーいっ! ねえ、今日の朝ごはんって何?」

「たしか……スクランブルエッグと、フレンチトーストって言ってたはずだ」

「ほんと!? フレンチトースト大好き!!」

エリカはぱっと立ち上がって、まるで犬のしっぽみたいに両手を振りながら喜びを表現する。

さっきまで眠たげだった彼女が、まるで嘘みたいに元気になっていて、その無邪気さに俺は救われる。

彼女は毎日、丁寧に日記を綴る。

それはただの記録なんかじゃない。

彼女がこの世界で、自分の輪郭を見失わないための、たしかな“証”。

世界に拒絶されても、諦めずに立ち向かっている。

その姿は、自分が生きた“証拠”であり、そして“希望”でもある。

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  • ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮   日記55 空き教室の謎③

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  • ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮   日記12:二つ目の事件

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