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ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮
ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮
مؤلف: 久遠遼

日記00:プロローグ

مؤلف: 久遠遼
last update تاريخ النشر: 2025-10-09 15:01:46

「高校でも直央くんと一緒でよかったわね、エリカ」

海風が窓から入り込む。助手席に座る私――海堂(かいどう)エリカは、うなずきながら笑顔をこぼした。

大好きな幼馴染みの男の子と、高校も同じ学校に通えることに胸を踊らせていた。

「うん! しかも大学も一緒に行こうって、ふたりで決めたんだ」

「ふふっ、気が早いわね。でも、そういうの……いいと思うわ」

ママが目を細めて笑う。ハンドルを持つ手が、優しく揺れていた。

金髪に青い瞳。肩までのウェーブヘアに、澄んだ白い肌。春の陽射しによく映える青いカーディガンと白シャツ。黒のスキニーパンツがその足の長さを際立たせている。

私も一応金髪と青い目だけど、肌はパパに似てママほど白くはない、スタイルも……うん、まだまだ。けど、それが逆に「私だけの形」って気もして、ちょっとだけ誇らしい。

「ねぇ、エリカ」

ふいに、ママが真面目な声で聞いてきた。

「なに?」

「直央くんとは、どうなの? なにか進展は?」

「な、なにそれ……!」

心臓がドクンと跳ねた。顔が熱くなるのがわかる。

「ま、まだ……何もないっていうか……!」

「やれやれ。あなた、美人なんだから積極的にならなきゃ。直央くんだって優しくて、可愛い顔してるし、女の子から人気あるんじゃない?」

「そ、そんなことないよ……!」

本当は、わかってる。優しくて、いざという時には頼りになって。そして、誰よりまっすぐで。

まるで……王子様みたい、なんて。思ってても絶対に言えない。

ママがくすっと笑った。

「実はね、ちょっと前に耳にしたの。“直央くんのこと、好きだった”っていう子……何人かいたらしいわよ?」

「……えっ? うそ、だれ? ホントに誰……っ!」

急に焦ってる自分がちょっとおかしくて、だけどどこか、嬉しくもあった。

こうして、ママと恋の話ができて。同じ高校に、直央くんと通えて。

今が、夢みたいに幸せで。

ふと、前方の道がカーブを描いた。

……静かだった。波の音と、タイヤがアスファルトを滑る音だけ。

その先で、何かが見えた。

前方の対向車線。大型トラックが、中央線を越えそうなほどに寄ってくる――ハンドルが逸れた? 違う、まっすぐこっちに――!

「え……?」

異常に気づいた直後、ママがブレーキを踏み込んだ。

「な、なに――っ!?」

叫ぶ声と同時に、視界が、ひっくり返った。

――ガシャアアアアアアン!!

強烈な衝撃。シートベルトが私の胸を締めつけ、車体が傾ぐ。

どこかでガラスが砕ける音。鉄の軋む音。

私は、声を上げることもできなかった。

「う……くっ……」

全身が、痛い。どこをぶつけたのかもわからない。

頭から何かが流れている。ぬるくて、重い感覚。

「ママ……?」

震える手で顔をぬぐいながら、隣を見た。

でもそこには――ママはいなかった。

「……え?」

目の前には原型を留めていない運転席、そのシートには、青いカーディガンの布の切れ端が引っかかっている。

金色の髪……ウィッグのようなものが転がっている。

それ以外は、ただ赤く、濡れた世界。

「ママ……?」

“それら“が、さっきまで笑っていたママだと気づいた瞬間。

私の世界は、音も、色も、光さえも――消えた。

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