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総力戦①

last update Last Updated: 2025-03-04 17:00:14

世界各国では――

「防衛はどうなっている!!首都へと攻め込まれるとは何事だ!」

「申し訳ございません!我が軍は壊滅的打撃を受け数を減らしております!」

「魔族……だったか……化け物どもがッ!」

殆どの国は首都へと攻め込まれ、首脳陣は対策に追われていた。

想定外の戦力差により、軍はほぼ壊滅。

防衛もままならない状態へと陥っていた。

「全ての元凶は、あの異世界ゲートではないか!!あんな物……防衛省に連絡しあそこに核を落とせ!」

「それはいけません!!日本に核など落とせばそれこそ戦争になってしまいます!」

異世界ゲートさえなければ……それは全ての人間が思っている事ではあったが、今となってはもう手遅れである。

「日本へと繋げ、会談を行う」

「既に繋いでおります」

仕事の早い秘書官であることが唯一の救いに思えてくる。

「これは佐藤首相。ご無沙汰しておりました」

「いえこちらこそ連絡が遅くなり申し訳ございません」

「本題に入りますが、異世界ゲートの対策についてです」

「ええ、そうですね。こちらもその手はずが整いましたので今世界各国へと連絡していた所でした」

なにやら日本は既に動きがあるようだった。

興味本位にアメリカ大統領は問い掛ける。

「して、その内容とは?」

「異世界ゲート及び研究所に蔓延る魔物の軍勢に総攻撃を仕掛けます」

「なんと!それは日本の総意でしょうか?」

「もはや国民の声を聞く余裕はありません。国家の意地をかけた戦いなのです」

「全滅も覚悟と?」

「もちろん覚悟しております。ただこの悲劇を招いたのは日本の意志ではないということだけ覚えておいて頂きたい」

「分かりました、では我が国も少ないですが支援を送りましょう」

「それはありがたい。ではいい結果を報告出来ることを祈っていて頂ければと思います」

会談はそこで終わった。

まさか日本が総攻
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