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第106話

Author: レイシ大好き
いい夢を見たような気がした。

翌朝。

紗雪が目を覚ますと、いつものように京弥が用意した朝食が待っていた。

昨日の出来事があったせいか、紗雪は今では京弥と自然に向き合えるようになっていた。

余計なことを考えることも、もうない。

誰の心にも秘密や隠しておきたいことの一つや二つはある。

それを深く追求したところで、何になるだろうか。

皆、大人なのだから、それぞれのプライバシーは、尊重すべきものだ。

「今日の目玉焼き、すごくきれいにできてるね」

紗雪は、ごく自然にそう褒めた。

京弥は一瞬驚いたようだったが、彼女の明るい笑顔を見ると、すぐに口元を緩ませる。

「気に入ったなら、次もこの焼き加減で作るよ」

「じゃあお願いしようかな」

二人の関係は、以前よりもずっと穏やかで心地よいものになっていた。

紗雪は食事を終えると、そのまま車で会社へ向かった。

京弥は送るつもりだったが、彼女がすでに車のキーを手にしているのを見て、それ以上は何も言わなかった。

紗雪は、籠の中で飼われる鳥ではない。

彼女は自由を求める。

自分の意志で羽ばたき、堂々と生きる人間だ。

だからこそ、京弥は彼女を縛りたくなかった。

手を差し伸べるよりも、彼女自身の力で経験し、成長する方がずっと意味があるのだから。

紗雪が会社に着くと、受付を通りかかった際に軽く会釈をした。

受付の女性たちは、その姿を見て好奇心を抑えきれない様子だった。

彼女がエレベーターに乗り、姿が見えなくなると、

「やっぱり二川さん、めちゃくちゃ綺麗だよね。あの人があんなに焦ってたのも納得......」

「ほんと、それ。二人とも美男美女すぎて、もう完璧カップルって感じ!」

「もうダメ......私、尊すぎて頭が爆発しそう......!」

紗雪は、そんな彼女たちの盛り上がりを知る由もなく、デスクへ向かい、すぐに仕事に取り掛かった。

椅子に腰を下ろして間もなく、円がこそこそと近寄ってきた。

「紗雪、昨日のことはもう聞いた?」

「何のこと?」

パソコンの電源を入れながら、紗雪は怪しげな円に目を向ける。

「あの浅井のことよ!」

円は憤った様子で声を潜める。

「やっぱり悪事を働くと天罰が下るんだね」

「彼女がどうかしたの?」

紗雪は、少し驚いたふりをしながら尋ねた。

自分が知っていること
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