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第978話

Author: レイシ大好き
なのに自分のもう一人の娘は......

そこまで考えて、美月はゆっくり視線を向けた。

目に映ったのは、信じられないという表情を浮かべた紗雪の顔だけだった。

立場を変えて考える?

そんなの、絶対に無理。

美月の顔に、愛情というものの片鱗すら見つけられなかった。

紗雪は鼻で笑い、美月を見た。

ちょうど「母さんも同じ考えなの?」と問いかけようとした瞬間、彼女の視界には、美月が緒莉を見つめる賞賛の色がはっきり映った。

そこまで見せつけられて、もうわからないはずがない。

これ以上問い詰めたところで、互いに何の得にもならないし、むしろ無意味だ。

そう。

何もかも白黒はっきりさせようとするほど、自分の立場の虚しさが際立つだけ。

紗雪は小さく笑い声を漏らした。

「もう分かったよ」

軽く頷き、美月に向かって静かに言う。

「母さん、子どもみたいなこと言ってごめんなさい。自分の立場を分かりました。

まだ用事があるので、お邪魔しました」

そう告げると、紗雪は踵を返して出て行こうとする。

美月と緒莉は顔を見合わせ、彼女の意図が掴めず戸惑った。

今日はどうしてこんなに大人しいのか。

いつもなら怒鳴り返しているはずなのに、一言も噛みつかずに帰るなんて――

どうにも様子がおかしい。

とはいえ、美月の立場では深追いもしづらい。

年長者として、子どもが反論しないのにわざわざ引き止めるのも妙だ。

だが緒莉は納得できなかった。

黙って引き下がる性格でもない。

「お母さんに用があって来たんでしょ?何も聞かないまま帰るの?」

紗雪は振り向かず、背中越しに淡々と言い捨てた。

「もう大丈夫。母さんがもうやり終えてるみたいだから。わざわざ話す必要もなくなった」

そう言うなり、迷いもなくその場を去った。

残されたのは、状況が呑み込めない緒莉と美月の二人だけ。

緒莉は首を傾げながら訊ねる。

「お母さん、何かしたの?紗雪は何を言っているの?」

本気で分からず、紗雪が神経質になっているだけだと感じていた。

美月も記憶を辿ってみたが、特に思い当たることはない。

あるとすれば安東家の件くらいだが......

安東家の態度なんて、紗雪も普段から気付いているはず。

胸の奥に言葉にしにくいざわめきが生まれたが、形にならない。

美月は首を振ると、緒莉の好物であ
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