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37話

Author: Yuu
last update Last Updated: 2025-07-24 20:20:07

「一人目のお客さんは谷口さんっていって30代の女性の方で、メニューはカットとカラーだから敬都はカットの後の掃除やカラーの準備の手伝い、瑞樹は飲み物の準備をお願いするから準備してて」

「「はい」」

山田さんのやり方は事前にやることを教えてくれるスタイルみたいだ。

これは俺と敬都みたいな陰キャにとってはすごく助かる。

陽キャにあって陰キャにないもの、それは「コミュ力」である。

コミュ力が弱いということは急な展開にも弱いということだ。

だからお客さんがきて急に飲み物準備してといわれてもすぐに動くことができない。

しかし事前に教えてくれれば気持ち面でも準備することができる。

おそらく敬都も同じ気持ちだろ。山田さんの話を真剣に聞いている。

早速予約の時間に合わせて谷口さんが来店してきた

「「いらっしゃいませ」」

事前に言われた通り、お客さんが入ってきたら元気に「いらっしゃいませ」という。

元気にいえたかはわからないが俺も敬都も無事にいうことができた

「えっ新しいスタッフ雇ったの?」

谷口さんはいつも通っている美容室で2人の若者に迎えられて驚いている様子だ

「違います違います。この子たちは高校生で職場体験で今日から2日間うちで働いてもらうんです」

「なるほど。流石に2人も雇う余裕はないか」

「本気出せばいけるっすよ」

「いつ本気出すか楽しみだね~~」

今の会話だけでも山田さんがお客さんによく思われているのが伝わった

席に座ると山田さんは谷口さんに要望などを聞いて髪を切りだした。

髪の毛を切っているときの山田さんはさっきまでののほほんとした雰囲気から一転してプロの美容師って感じがしてかっこよかった

「ねぇ山田君。いつもよりちょっとかっこつけてない?」

「なんでいうんですか。高校生の前だからかっこつけていたのに」

「だっていつももっとへらへらしているじゃない」

思っていたイメージとは違ったみたいだ

ただ、山田さんの手際の良さは流石の一言で話しながらも素早くカットを終えた

「あとはカラーが終わってから仕上げのときに切りますね」

「はぁい」

敬都は山田さんの切った髪の毛を掃除し、俺は谷口さんに飲みたい飲み物をきき飲み物の準備をしている。たった飲み物を聞くだけの簡単作業ですら緊張してしまっている陰キャですいません。

山田さんは話しながらも手早くカラーを塗り終えた。

俺も卒業したらカラーしてみたいな。でも似合うかな。。。

「今から20分ぐらい時間置くので、二人と話してくれませんか?現役高校生とゆっくり話す機会なんてあんまりないですよ」

「仕方ないな」

「でも口説くのはやめてくださいね。なんか管理的なやつで俺がヤバそうです」

「おい。最早私が現役高校生を口説いたら犯罪臭がしてくるでしょ」

「確かに。。。」

「今日の料金は払わなくていいのかな」

「勘弁してください。生活できなくなります」

「まぁ冗談はさておき、君たち名前は?」

「俺は松岡瑞樹といいます」

「僕は中村敬都です」

「松岡くんと中村くんね。覚えた。それで二人は彼女とかいるの?」

「えっ。。。」

いきなりの恋愛トークに変な声がでてしまった

「なんでちょっと驚いているの?いきなり高校生と話してって言われても話題なんか思いつかないし、恋愛トークと下ネタは全世代共通で盛り上がる話なのよ」

確かに谷口さんは、いつもと同じようにお店に来店したら高校生が二人いて、山田さんに話してやってと頼まれて話題なんて簡単に思いつかないはずだ。

前に父さんに「年上だからってなんでも任せていいわけじゃなくて、年下からも寄り添うことでコミュニケーションは成り立つんだよ」と言われたことがある。

実際両親以外の大人と話す機会があまりないから、今までそうゆう場面がなかっただけで今がまさにそのときかもしれない。

「すいません。学校でも陰キャポジションにいるので恋愛トーク自体が新鮮だったので」

「えっ君たち陰キャポジションなの?今の見た目的にはそうは見えないけど」

「これは余所行きの格好なので、学校ではもっと地味です」

「中村くんもそうなの?」

「はい。僕は瑞樹以上に陰キャポジションだったんですが、瑞樹に髪の毛のセットを教えてもらってそこから見た目に意識しだしたぐらいで、中身は全然陰キャです」

「なるほど。今の見た目だったら陽キャポジションでもいけそうだけどね」

「いやいや。僕なんか女の子と話すときも緊張してしまって全然です」

「私も女の子だよ?」

「あっ。いや。谷口さんは大人の余裕があるので話しやすいというかなんというか」

「それは老けているってことかな?」

「いや。。。。」

「中村くんはいじりがいがあるね」

「それならよかったです。あっ。でも瑞樹は陰キャポジションから最近目立つようになっているんですが」

「その話詳しく聞こうか」

「単純にですね。クラスでNO1の女の子の彼氏なんです!!」

敬都は谷口さんに俺と愛のことを普通にばらして、しかも最近のことまで話している。

それは楽しそうに。

「わお!松岡くんやるじゃん」

「いや、本当に運がよかったというかなんというか」

「まぁでも出会いとか付き合いってそんなもんじゃないのかな。たまたま席が隣だった、たまたま塾が同じだったとか、出会いなんて偶然起きていることばかりで、その偶然から人と人が出会って友達になったり恋人になったり。大事なのは偶然の後の話で、松岡くんにとっては付き合った後どうなっていくかが大事になってくるんだろうね」

「付き合った後。。。」

「そう。恋愛ってだいたい結婚するか別れるかの2択じゃない?そのまま付き合い続ければ結婚するけど、それ以外だったら別れるってなると思う。だから結果付き合った後にその二人がどうなるのかの方が大事なんだと私は思うんだ」

谷口さんの言葉すっと頭に入って納得できた。

確かに母さんと父さんみたいに付き合い続けて結婚するパターンと、それ以外はどこかのタイミングで別れるしかない。しかも結婚しても「離婚」することだってある。

俺と愛も今は高校2年生で付き合い始めて、このまま付き合い続ければ今まで生きた人生の3倍ぐらいは一緒にいる計算になる。

これからか。。。

「それ谷口さんの実体験が元の話だから説得力あるぞ」

気づけば隣に山田さんが戻ってきていた

「どうゆうことですか?」

「谷口さんこの子たちに教えていいですか?」

「いいよ」

「谷口さんは高校卒業してから10年ぐらい付き合っていた人がいたんだけど数年前に別れたんだよ。俺と谷口さんはその彼氏と付き合っていたころから担当させてもらっていたから、谷口さんのその人との恋愛に関しては結構知っているんだ。別れた理由はいろいろあるんだけど、10年間ぐらい付き合っていたら誰でも「結婚」ってのを考えるだろ。でも実際10年間付き合ったからこそ見えてくる部分もある」

「相手のことをより知れるってことですか?」

「相手のことを知れるってことはある。でも「知る」って良いこともあれば悪いこともあるのが現実だ。例えば付き合って1年で結婚したカップルがいるとする。結婚するときはめちゃくちゃ幸せそうな雰囲気だけど、いざ結婚生活が始まると1年後に離婚している人たちは珍しくない。要するに短く付き合って結婚すると、結婚してから相手のことをより知ることになる。でも付き合う期間が長くなると相手のことをよく知ってから結婚するか選ぶことができる。俺の経験上若ければ若いほど、その時の幸せが一番と思い結婚を先走ったり、先に子供ができるパターンが多い。その点谷口さんは長く付き合うことで「この人とは結婚できない」という選択をしたということ。どっちが正しいとかはないし、最近では0日婚という言葉があるほどだから。だから谷口さんが言っている「付き合った後」が大事なのはその付き合った人とどうゆう関係を築いていくかってこと」

「あってます?」

「そんな感じだよ。私は元カレとは結婚すると思って付き合ったけど、10年ぐらい付き合っていると元カレのクズな部分がたくさん出てきて、この人は信用できないなと思ったの。だらか結婚できないなら別れるを選んだ感じ」

「大人の人たちっていろいろ考えているんだね」

敬都は山田さんと谷口さんの話を聞いてしみじみに言った。

「まぁ君たちもこれから人生を重ねていけばわかってくるさ。特に大人になればなるほど「欲」が前にでてくるから、クズな一面は若いときに比べて露出しやすくなる。これは私の実体験だから間違いない」

谷口さんはどや顔で言い切った

「勉強になります」

「それならよかった」

「谷口さん時間なるのでシャンプー行きますね」

カラーの放置時間が終わりシャンプーをしてドライヤーで髪の毛を乾かして谷口さんの施術は終了した。

毛先を整えてカラーを染めただけで谷口さんの見た目は来店した時に比べて軽い印象になったし、清潔感が増したように見えた。美容師の技術のすごさを再確認した。

いつも自分は施術を受ける側だったから特に何もかんがえていなかったけど、実際に現場にいるとビフォーアフターの違いがはっきりわかる。

「今日も思った通りで満足。ありがとう」

「こちらこそありがとうございました」

「二人もありがとう。久しぶり高校生と話せて楽しかったし、少し若返ったような気がする」

「それは気のせいです」

「次は別の美容室に行こうかな」

「ごめんなさい」

「ははは。じゃぁまたよろしく」

「「「ありがとうございました」」」

「さて、次はおばあちゃんのカットだから、俺の後ろについて話すだけでいいから」

「「はい」」

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