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13.ランカーという生き物

Penulis: 空空 空
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-19 19:21:06

 その後もいくつかのことを話し合って、結局まずは出口を見つけようという結論に落ち着いた。

ミミズク曰く「なんとしても今日来てるC級クリーナーより先に出口を見つけなければならない」ということだった。

「もし彼が先に出口を発見していた場合、最悪の事態に陥る可能性がある」とも言っていた。

その最悪の事態が何を指すのかは現状分からない。

 即席のブランクカードとE級D級混成パーティで、奇妙なダンジョンを探索する。

異常事態が重なった結果、本当になんだかとんでもないことになってしまった。

 洞窟内の環境は相変わらずめちゃくちゃで、でたらめな気温変化は体にもよくない。

じわじわと体力が奪われていくのを感じた。

モンスターも、D級ダンジョンに居た方の魔物はまだまばらながら残っており、未だE級未満である俺たちにはそこそこ厳しい戦いになった。

ただ、こうして戦うことができたのはまぁ心残りとか、そういう意味ではよかったと思う。

 それからどれほど経ったか、今までで一番長いダンジョン滞在の終わりが見えてくる。

俺にとっては、最後の瞬間になるわけだ。

曲がりくねった道の先に、出口のゲートの青白い光が……。

「よぉ、お前ら。遅かったじゃねーかよ」

「……!!」

 神経を逆なでするような、あいつの声が俺たちを出迎える。

やっとの思いでたどり着いたゲートの手前、蛇男が俺たちの来訪を待っていた。

「ん? てかあれ? 誰だよそいつら」

 蛇男の視線がぎろりとミミズクたちに向く。

そして何かを言おうとするミミズクたちを遮った。

「まぁいい。俺だって馬鹿じゃねぇからな。別の攻略隊がいるんなら……ま、さっきのはそういうこったな」

 ただの勘か、それともやはりダンジョンに慣れているのか、すぐに事態の本質に目星を付ける。

そうしてニッと口端を吊り上げた。

「ていうことは、だ。このダンジョンには、ボスが二体いる……。おい、お前ら……等級は?」

 ミミズクの想定していた最悪の事態。

やっとその意味を理解する。

俺たちは、この男のわがままに付き合わされるかもしれないということだ。

「僕らは……E級とD級の混成パーティだ。だが……お前が何を考えているのかは大体わかる。僕たちは、協力しないよ。帰って、協会に報告する」

 蛇男がミミズクをにらみつける。

そして頭を横に振って、あきれ顔でため息を吐いた。

「かー、わかって
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