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1-1.前園十六夜(1/2)

last update Date de publication: 2025-07-05 11:00:38

 今日もまた三年生合同授業はVR(バーチャルリアリティー)郷土探訪だ。メタバース内に構築された神社の狭い境内に辻沢女子高校(辻女)の生徒たちがひしめき合っていて、白の半袖シャツに青リボン、チェックのスカート姿で、多くの子がスカートを短く巻いて裾をふんわり広げる流行りのスタイルをしている。もちろんみんな自己投影型アバターなのだが、どの生足(なまあし)も、太ももフェチがテンションおかしくするほどリアルだった。

「ここ、宮木野(ミヤギノ)神社は辻沢の鎮守社の一つで室町時代の創建ですが、江戸初期に起きたいわゆる夕霧大火によって一旦は焼亡します。その後、辻沢遊郭の遊女や粋客の寄進により江戸中期に再建されたのが現在の社殿になります」

 仮想空間の社殿を背にその階に立ち、引率の遊佐(ユサ)セイラ先生を差し置いて解説しているのは冬凪(フユナギ)だった。

「夏波(ナツナミ)、お前の妹なんとかしろ」

 かたや、境内に溢れかえる女子高生たちの一番後ろであたしと並んでイライラを募らせているのは園芸部仲間の前園十六夜(イザヨイ)だ。青メッシュ入りの黒髪を胸元に巻き下ろし血のように赤い唇をしている。

「こらえてあげて。ここも冬凪のフィールドだから」

 となだめはしたが十六夜の気持ちも痛いほど分かった。だって、ここの園庭はあたしたち園芸部の産物で去年の夏にさんざん通った現場だったから。

「こんなの流せば5分で終わるのに冬凪のおかげで30分は無駄にしてる。また部活、ゼンアミさんに進捗すら聞けないよ」

 十六夜の言う通り、ここのところ部活の作業は庭師のゼンアミさんに任せきりで、あたしたちが現場に行かれたのは数えるほどしかない。

「そもそも、なんでこの授業は毎回ロックインしなきゃなんない?」

 十六夜の怒りの矛先が授業形態に飛び火する。

 たしかに郷土探訪というのならヴァーチャルでする必要はないと思う。実物の宮木野神社は学校からすぐ近くなのだから歩いて見学しに行けばいいことなのだ。

「こちらにある石碑に祭神である遊女宮木野の来歴が記されています」

 冬凪がモーセのようにJKの海を割って境内の反対側まで移動し、その小柄な身長の3倍はある石碑の前に立つと碑文を見上げ説明を始めた。

「おいおい、マジか」

 十六夜の顔がVR酔いしたかのように青ざめている。

「こちらの碑文は漢文で書かれていますが内容は江戸の仮名草紙『伽婢子(おとぎぼうこ)』に収録された「遊女宮木野」の異説となっています。戦国時代、青墓という場所に才芸に長けた遊女がいて名を宮木野と言いました。ある武士に身請けされ妻になりましたが、武士が留守をしてる間に盗賊に襲われ殺されてしまいます。後日、悲嘆に暮れる武士の元に宮木野の幽霊が現れ、自分は辻沢に転生したと告げました。武士が辻沢を訪ねると宮木野に生き写しの双子の姉妹がいて武士のことを覚えていたといいます。遊女宮木野の転生した姿、この姉妹が二代目宮木野と志野婦のこととされています。皆さんもご存じの通り彼女たちは双子のヴァンパイアで……」

 と冬凪が辻沢のヴァンパイア伝承について講義を始めたのを見て、十六夜はついに天を仰いでしまった。

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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   鈴風の物語 その8 一万円札の約束(3/4)

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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   鈴風の物語 その8 一万円札の約束(2/4)

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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   鈴風の物語 その7 柊の鬼子使い(2/3)

     その素早さは目を見張るものがあった。迫るひだる様を重い柊を肩に担いだまますり抜けてゆく。妾が出来るのは、二人に攻撃が集中しないようにひだる様の注意を引きよせながら並走することぐらいだった。数回鎌爪を弾いたあたりで予想よりも早くひだる様の囲いを突破した。妾だけならこんなに簡単にはいかなかったろう。鬼子使いの力を思い知る。 囲いを抜ける最中、赤さんのことが心配になって振り向くと、ひだる様の頭を踏み台にしてあちこちと飛び回り翻弄している姿が見えた。あれなら大丈夫そう。そう確信して前を向き駆

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