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第2話

Author: ムショ
星璃が家に戻ったときには、すでに全身が疲労に覆われていた。

玄関を開けると、家の中の至るところに美々の物が置かれているのが目に入り、胸の奥が言いようのない重苦しさで塞がれる。

美々が住み始めてから、すべてが変わってしまった。

美々が欲しいと言えば、承司はすぐに何でも与えた。

女優になりたいと言えば、脚本を買ってあげる。

歌いたいと言えば、曲を用意する。

美々に対する承司の甘やかしは、もはや底なしだった。

今日の主演女優賞が美々に渡ったことを思うと、星璃の胸には言葉にできない苦しさが込み上げてくる。

気を紛らわせようと、無理にでも意識をそらした。

スマホを手に取り、SNSを開いた瞬間、美々の新しい投稿が目に飛び込んできた。

【やったね!新しい家と車ゲット!彼がサプライズでプレゼントしてくれたの。今日は本当に幸せ。彼のこと、大好き!ずっとこのままでいられたらいいな!】

美々が投稿に添えた画像は三枚。

一枚は豪邸、もう一枚は高級スポーツカー。

どちらも目のくらむような値段の品だ。

そして最後の一枚には、承司の背中。

半分しか写っていないが、星璃にとって見間違えるはずもない。

彼と三年も一緒にいて、誕生日にはただ口座に金を振り込まれるだけ。プレゼントを用意することすらなく、「女の子が何を欲しがるのか分からない」――それが彼の口癖だった。

なのにどうして美々に贈るものは、こんなにも的確に分かるのか。

胸の奥が鋭く刺されるように痛んだ。

さらにスクロールすると、承司の会社の幹部社員の投稿が目に入った。

【やばい!今日、社長に何があったの?いきなり全社員にボーナス大放出!もしかして、奥さんとの間に何かいいことがあったのか?】

その投稿には、承司の「いいね」がついていた。

星璃の指先は強ばり、画面を閉じた。

一粒の涙がスマホの端に落ちた。

――奥さん。

承司と美々は、深夜になってようやく帰宅した。

二人とも酒に酔っていて、体からはアルコールの匂いが漂っていた。

承司はソファに身を投げ出し、気怠げに言い放った。

「星璃、水を。俺と美々に一杯ずつ持ってきて」

星璃は動かなかった。

美々が指を差し、声を荒げる。

「ねえ、聞こえないの?人の言葉が分からないわけ?」

酔っ払うと、本性がむき出しになる。

酔っ払い相手に口論する気もなく、星璃は立ち上がって台所へ向かった。

だが背後では、美々が承司の胸に潜り込む声が聞こえた。

「ダーリン、大好きよ」

星璃は、その場で凍りついた。

振り返ると、承司が慣れた手つきで彼女を抱き寄せ、誘い込むように尋ねている。

「美々、俺が誰か分かるか?」

「あなたは……私の旦那さん」

「名前で呼んで」

「ん……あなたは……承司」

彼女は一字一句、はっきりとその名を呼んだ。決して、彼を亡き夫と間違えたわけではない。誰なのか、はっきりと分かっていたのだ。

次の瞬間、承司は抑えきれずに彼女に口づけを落とした。

星璃の瞳が大きく見開かれた。信じられず、後ずさりした拍子にテーブル脇のグラスを倒してしまった。

その音に我に返った承司は、立ち上がり、額を押さえながら彼女に向き直った。

「星璃……俺、酔ってて……彼女を君と間違えただけだ」

近づこうとする彼の足音に、星璃は吐き気を覚えるほどの嫌悪感を抱いた。

「触らないで!」

差し伸べられた手を振り払った。

赤く潤んだ瞳を見て、承司は一瞬だけ動きを止めた。

そのとき、背後で美々がごみ箱に顔を埋めて吐き出し、苦しげに名を呼んだ。

「承司……気持ち悪い……」

承司はすぐに振り返り、彼女に駆け寄った。口元を拭き、水を飲ませ、背を優しく撫でながら抱き寄せた。

かつて星璃にも、同じようにしてくれたことがあった。

だが美々が戻ってきてからというもの、彼の目にはもう誰も映らない。

この瞬間、星璃は認めざるを得なかった。

二人の関係は、もう戻らない。承司は本当に、別の女を好きになったのだ。

星璃は静かに涙をぬぐい、背を向けて階段を上がった。

そしてマネージャーに電話をかけた。

「今、私のスケジュールってどれくらい残ってる?」

寝ぼけ声でマネージャーが答えた。

「あと少しだよ。どうしたの?」

星璃は目を閉じ、はっきりと言った。

「残ってる分を片付けたら、新しい仕事は受けないで……芸能人をやめて、海外に行って勉強するつもり」

疲れ果ててしまった。

もうあの二人を見続けることには耐えられなかった。

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