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第108話

Auteur: るるね
last update Date de publication: 2026-04-25 22:29:40

 父から最後に連絡があってから、三週間が過ぎていた。それ以来、一切音沙汰はない。

 最初のうちは、父なりに忙しいのだろうと思っていた。だがさすがにここまで間が空くと、不安が胸をよぎる。

 それに、いつ家へ戻れるのかも気になっていた。

 ある日の仕事帰り、陽菜は父へ電話をかけた。呼び出し音は、長く鳴り続けた。

 父は電話に出なかった。

 陽菜はそれほど気に留めなかった。父は歳を重ねてから、以前よりもずっと気まぐれになっていた。

 病院からなかなか出ようとしなかったのも、その一つだ。

 出たくない時は、平気で電話を無視する。今回もきっとそうなのだろうと、そう思っていた。

 ――数日後までは。

「陽菜……もうダメよ、終わりよ……あの人、あの人ね……何をしたと思うの……!」

 突然、母から電話がかかってきた。

 泣き崩れるような声が、受話器越しに押し寄せてくる。

「お父さんがね……会社の、たった一つしかない特許を売ったのよ!しかも、信じられないくらい安い値段で……!」

 叫ぶような声に、鼓膜が震える。

「ちょっと待って、母さん……何を……」

「分かってるの!? これがどういうことか!仮に裁判
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