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第232話

Author: 北野 艾
ただでさえ宇田川京介という強敵の存在に気を揉んでいるというのに、ここに来て篠宮賢までもが参戦してくるとなると、いよいよ頭が痛い事態だ。

「久坂さん、ここちょっと問題が……見てもらえます?」

智也は完全に上の空だった。

スタッフに何度か名を呼ばれて、ようやくハッとして我に返る。

作業を終えると、賢がわざわざ下まで見送りに来てくれた。

智也が車を回しに行っている間、詩織は賢と少し立ち話をした。

途中で賢の方に電話が入り、彼は執務室へ戻ってしまったため、詩織は一人エントランスに残された。

ちょうど退勤ラッシュの時間帯だ。渋滞に巻き込まれているのだろう、智也の車はなかなか戻ってこない。

詩織はしばらく手持ち無沙汰に時間を潰すことになった。

その時だ。建物の中から志帆と美穂が出てきたのは。

スマホに目を落としていた詩織は二人に気づかなかったが、美穂は目ざとく詩織を見つけた。

続いて志帆の目にもその姿が映る。

脳裏をよぎったのは、京介が詩織のために自分との予定を反故にしたあの一件だ。志帆の表情は急速に冷え込み、胸の底に形容しがたい不快な澱が溜まっていく。

美穂も同じだった
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