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第443話

Author: 北野 艾
その光景を見て、ミキの腹の底から怒りが込み上げてくる。

なんなのよ、その態度は!

現れてから一度として詩織とまともに目を合わせようともせず、まるで赤の他人みたいに冷たく素通りして。

詩織が彼に捧げた七年の歳月は、何だったというの?

ドブに捨てるほどの価値もなかったわけ?

「賀来社長。ちょうどいいところにいらっしゃいましたね」

ミキがドスの利いた声で呼び止める。「あなたからハッキリさせてくださいよ。この二人のうち、『泥棒猫』はどっちなんですか?」

自分だけ安全圏で高みの見物なんてさせない。

この泥沼に引きずり込んでやる。

もしシラを切るようなら、詩織のこれまでの献身を全部ここでぶちまけてやる覚悟だった。

柊也の瞳が冷ややかに光り、ミキを射抜いた。

余計なことを言うなという、無言の警告だ。

だがミキは怯まない。真っ向からその視線を睨み返す。

柊也はミキから視線を外し、詩織の方を一瞬だけ淡々と流し見た。そして、何の感情も籠っていない声で、静かに言い放った。「近藤さん。こういう言葉をご存知ないですか?――愛されていない方こそが、第三者だ、と」

……

「詩織、なんで止めたのよ!あの性悪女とクズ男の口、まとめて引き裂いてやらなきゃ気が済まないっての!」

ミキはペットボトルの冷水を一気に喉に流し込んだが、腹の底で煮え繰り返る怒りの炎は、それくらいでは消えそうになかった。

まさか、よりによって賀来柊也があんな非情な言葉を口にするなんて。

たった一言で、詩織が彼に捧げた七年という歳月を全否定したのだ。

人の心がないにも程がある。

「もう一本、追加!」

怒りで頭が沸騰しそうで、ミキはとにかく体を冷やさずにはいられなかった。そんな彼女に、詩織は常温のミネラルウォーターを静かに差し出した。

「冷たいものばかり飲むと、お腹を壊すわよ」

詩織の声は、酷く落ち着いていた。だが、柊也があの言葉を放った瞬間、詩織の心臓も確かに一度、重く沈んだのだ。

真夏の暑さだというのに、背筋に冷たい氷柱を通されたような寒気が走った。

それが今、時間をかけてようやく引き、波打っていた感情も凪いだ海のように静まり返っている。

そこへ、曲山学長が慌てた様子でやってきた。

彼は詩織の姿を認めると、何度も頭を下げて謝罪した。現場の職員の不手際で、とんだ無礼を働いてしまっ
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Comments (2)
goodnovel comment avatar
桜花舞
コイツは絶対に許せないと再確認! 私の方が心臓固まったわ 酷すぎる あんなこと言われたらしばらくは頭真っ白で何もできない 震える で、学生達の評価はどうなったのかな?
goodnovel comment avatar
awayfromhome-takako
やっぱりクズ也にはとことん無様にのたうち回って欲しい 詩織に未練タラタラのくせに、何が愛されない方が第三者じゃ よく言う!! 結婚カウントダウンで心身共に疲弊していくのを見たい 何も知らずにのほほんと幸せになるワケないって思ってます。 詩織の流産も知って苦しんで欲しい 読者は絶対許さん!
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