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第790話

Auteur: 北野 艾
詩織の手元が狂い、ペンが紙の上で鋭い音を立てた。丁寧に書き連ねていた文字を切り裂くように、無機質な一本の線が走る。

静寂を塗り潰したその一線は、まるで平穏な午後の終わりを告げる合図のようだった。

電話の向こうで報告を続けていた部下は、突然途絶えた指示に戸惑い、恐るおそる声を漏らした。「……江崎社長、お聞きになっていますか? 何か不手際でもございましたでしょうか。ご指示をいただければ……」

詩織は返事もせず、立ち上がると同時に通話を切った。

視線の先には、長く続く竹垣。向こう側へ行くには、かなりの距離を迂回しなければならない。

最短と思われるルートを見定め、彼女は逸る気持ちを抑えきれずに駆け出した。

意識のすべては竹垣の向こう側――そこにいるはずの柊也を捕まえることだけに向けられていた。そのため、前方からトレイを運んできた店員の存在に、まったく気づかなかった。

二人は正面から激突した。

ガシャガシャと耳を突き刺すような音が響き渡り、トレイに乗っていた食器が地面に散らばる。

「ごめんなさい!」

詩織は慌てて店員を支え、何度も謝罪の言葉を口にした。

怪我がないことを確か
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Commentaires (1)
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T U
本当に。太一の言う通り。 柊也さん、逃げ回っていないでキチンと詩織と向き合おうよ。
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