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第98話

Auteur: 北野 艾
人の心など、移ろいやすいものだ。

詩織はとうに柊也への期待など捨てていたから、彼が自分のために何か言ってくれるなどとは、もちろん思ってもいない。

だからすぐに視線を外し、表情を動かさなかった。

ただ、汚物でも見るかのような目で太一を見据える。

太一にしてみれば、先ほど詩織にやり込められて潰された面子を取り戻すために、嫌味の一つでも言ってやりたかっただけなのだ。

だが、まさかこんな反応が返ってくるとは思ってもみなかった。

その表情はあまりに堂々としていて、「現場」を押さえられたような狼狽など微塵もない。

それどころか、その瞳にはあからさまな軽蔑の色さえ浮かんでいる!

ただでさえアルコールが入っている。その侮辱的な視線にカッと頭に血が上り、口から飛び出した言葉は、もはや皮肉の域を超えていた。

「何見てんだよ!俺が何か間違ったか?てめえは元からそういう偽善者だろうが!それだけじゃねえ、性根は腐ってるし、金のためなら手段を選ばねえ……!」

「もういい!」

それまで表情一つ変えなかった柊也が、ようやく口を開いた。

太一はまだ罵り足りなかったが、柊也の制止とあっては、ぐっと
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