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第199話

閑雲
怜央は苛立たしげに髪を掻きむしり、一歩下がって椅子にどっかりと腰を下ろした。「俺が解除に応じないと言ったら?」

彼はどうしても陽咲と離婚したくなかった。

その理由については、ただ「紬希が陽咲を必要としているから、そばにいてもらわなければ困る」と自分に言い聞かせていた。

しかし、果たして本当にそれだけなのだろうか?

怜央は深く考えようとはしなかったし、考えることすら恐れていた。心のどこかで、自分が陽咲を少なからず気にかけ始めているという事実を認めたくなかったのだ。

陽咲は、彼が婚前契約の破棄を渋ることなどとうの昔に見透かしていた。

フッと冷ややかな笑みをこぼすと、怜央の視線を受けながら、彼女も傍らの椅子を引き寄せて腰を下ろした。

「いいわよ。あなたが解除に同意しないなら、私も偽装離婚には協力しないから。どうせ安部グループは私が立ち上げたものじゃないもの。そうでしょ?」

陽咲は笑みを浮かべて彼を見つめていたが、その瞳の奥は氷のように冷え切っていた。

まさか逆に脅されるとは思ってもみなかった怜央は、胸の内で苛立ちを募らせ、愕然として言い返した。「お父さんやお母さん、それに紬
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