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第115話

Auteur: marimo
last update Date de publication: 2026-04-11 20:31:50

「竜星さん、圭です」

鳴り続けていたスマートフォンを手に取り、通話ボタンを押した瞬間、受話器の向こうから聞こえてきたのは南條圭の落ち着いた声だった。

その声を聞いた竜星は、一瞬だけ露骨に嫌そうな表情を浮かべる。

(今は……こいつと話している場合じゃない)

だが、すぐにその表情を消し、声だけは平静を装って応じた。

「ああ、久しぶりだな。こんな夜更けにどうしたんだ?」

努めて落ち着いた口調。しかし、その内側では苛立ちが燻り続けている。

圭はすぐには本題に入らず、わずかに間を置いた。その沈黙が、かえって不穏さを増幅させる。

そして、静かに切り出した。

「櫻羅のことなんだけど……」

その言葉を聞いた瞬間――竜星の中で何かが弾けた。

(またか……また櫻羅か……)

なぜだ。なぜ誰も彼も、櫻羅のことばかり口にする。

自分の会社は崖っぷちに立たされている。融資は途絶え、次の一手も見えない。その焦燥と苛立ちが、すべて櫻羅という存在に向けられていた。

「櫻羅に何の用だ?」

先ほどまでの平静な声とは打って変わり、刺すような口調だった。

その変化に、圭はわずかに戸惑う。しかし、ここで引くわけにはいかないと気
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