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第237話

Author: marimo
last update publish date: 2026-07-25 20:33:56

一階の廊下で叶翔の姿をとらえた櫻羅は、待合スペースのソファから静かに立ち上がった。

先ほどまで心春のことが気になり、落ち着かない気持ちでロビーを行き来していたが、見慣れた後ろ姿が目に入った瞬間、その表情が少しだけ和らぐ。

スマートフォンを耳に当てたまま、足早に叶翔のもとへ向かって歩き始めた。

一方、叶翔も櫻羅の姿が目に入った途端、スマホを耳に充てたまま、櫻羅の方へと歩き出していた。

互いに相手へ電話を掛けたまま、同じ場所へ向かって歩いていることにまだ気づいていない。

廊下の中央で向かい合った二人は、お互いにまだ、スマホを耳に充てたままだった。

少しだけ照れたように見つめ合う。

そして、ほぼ同時に口を開いた。

「叶翔……なんでここに?」

「櫻羅、心春と一緒じゃなかったのか?」

スマホに向かって同時に発した言葉に、二人とも笑ってしまった。

一瞬だけ廊下に笑い声が響き、重苦しかった空気が和らぐ。

叶翔は肩をすくめながら笑う。

「とりあえず切るか」

叶翔の言葉に、櫻羅もスマホの通話を切った。

画面を閉じて浴衣の袖へしまうと、改めて叶翔を見上げる。

「いつ来たの?」

そう尋ねる櫻羅の表情には、
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