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第285話

Author: marimo
last update Petsa ng paglalathala: 2026-09-16 20:49:10

九条本邸の玄関を入ると、雪乃は思わず足を止めそうになった。

広々とした玄関。

磨き上げられた床。

静かに佇む調度品。

どれもこれも、自分がこれまで暮らしてきた世界とはかけ離れている。

―――ここが、九条家……。

以前、九条ホールディングスで玲司や叶翔と顔を合わせたことはあった。

けれど、実際に九条家の中へ足を踏み入れると、その家が持つ重みを改めて感じてしまう。

雪乃は、自分の服装を無意識に確認した。

変ではないだろうか。

場違いではないだろうか。

そんな小さなことまで気になってしまう。

何より―――。

これから自分が向かう部屋には、九条玲司がいる。

鷹宮心春もいる。

そして、和真も。

そのことを考えるだけで、心臓が早鐘のように鳴った。

雪乃は、自分でも顔が強張っていることに気づいた。

目の前を歩いていく瑛士の背中を見つめながら、必死に足を動かす。

しかし、心の中では別の声が何度も囁いていた。

―――怖い。

―――このまま帰ってしまいたい。

一歩進むたびに、その誘惑が強くなっていく。

ここまで来たのだから、もう逃げるわけにはいかない。

そう思っているのに、足は鉛のように重かった。

もし
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