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22話. 死せる名

Auteur: 6jay
last update Date de publication: 2026-11-05 18:07:23

「本日の朝礼は、これにて下がる」

花の声は、驚くほどに整って出た。

握り締めた掛け香を袖の内に押し込む手にも、揺らぎひとつ無かった。

煌仁が先に立ち上がり、花はその背へ向けて折り目正しく腰を折った。

袍の裾が庭を抜けゆく間、花は終いまで大床の下を見なんだ。

見ずとも、解る。

あの目が何処を向いているかは。

***

中宮御所の経台(きょうだい)の上へ投げつけられた掛け香の珊瑚の枝が、鏡に当たって鋭い音を立てた。

「焼け」

新しく上がった弓(ゆみ)命婦が腰を屈めて拾い、敷居を越えようとした刹那、花の声がその背を押さえた。

「……否(いな)、置け」

花が奪い返した掛け香を経台の抽斗(ひきだし)の奥に押し込むと、閉まる音がやけに響いた。

「南原(なんばら)の医師が、御(ご)文安(ぶんあん)の脈を取り申してござりまする」

「入(い)らしゃれ」

道玄は脈を取る取らぬの体(てい)で手を引き、鍵束を膝の上に揃えて置いた。

「中宮の君、ご気色(きしょく)がひどう損ねておられまする」

「あの女医を宮より除く方(ほう)を申せ。直廬の庭にても、内名婦の庭にても、面目を剝がれたのじゃ」

「殺すは容易(たやす)
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