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第9話

Author: 世界は巨大なスイカ
そして、LINEに届いた、数十件もの通知。

そのすべてが、律希からのものだった。

【今どこにいるんだ?】

【迎えに行こうか?】

【まだ帰らないのか?】

以前なら、こうして必死に相手の行動を詮索するのは、私の役目だったはずなのに。

私は返信せず、直接顔を合わせてきっちり話を付けることにした。

家に帰ると、律希はすでにリビングで私を待っていた。

ドアを開けた瞬間、部屋の真ん中に置かれたスーツケースが目に入った。

律希の目の前にある灰皿は、吸い殻で今にも溢れそうになっていた。

私が妊娠して以来、何度も禁煙してほしいと頼んだが、彼はいつも鼻で笑って取り合わなかった。

「いちいちうるさいな。俺にはこれっぽっちの自由もないのか?」

それなのに、萌香から食事の席で二、三言文句を言われただけで、あっさりとその習慣を直してしまった。

私の姿を見るや否や、彼は慌てて手元のタバコを揉み消した。「……煙かったか?」

「……ううん、平気よ」

律希の瞳に、かすかな動揺と傷つきの色が浮かんだ。「以前なら、俺がタバコを吸うとあんなに怒っていたのに。……どうして今は、そんなにあっさり引き下
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    「今回のことが落ち着いて、君の体が回復したら、ちゃんと説明する。君が知りたいこと、なんだって答えるから」私は本当に理解に苦しんだ。彼のその口は、一体何のためにあるのだろう。ただ、ご飯を詰め込むためだけの穴に過ぎないのか。だが、私はもう二度と待ちたくなかった。彼に背を向けて言い放つ。「疲れたわ。出て行って」私の両親の前では、律希は実に甲斐甲斐しく世話を焼き、よくできた夫を演じていた。一切の愚痴もこぼさなかった。年が明けたばかりで、実家にもやらなければならないことが山ほどある。私は両親に、早く帰るよう促した。帰り際、母はこっそりと私に尋ねた。「琴音、まだ律希とこのまま無駄な時間を過ごすつもりなの?いいこと、傷が浅いうちに『見切りをつける』ことも大事なのよ」私は幼い頃のように母の肩にすりすりと顔を擦り付けた。堪えきれず、目頭が熱くなる。「わかってる。わかってるわ」私は、いつまでも永遠の臆病者ではいられない。……罪悪感からか、律希はすべての仕事をキャンセルし、流産後の私の療養に付き添うために病院に泊まり込んだ。友人からの誘いすら完全に無視していた。回診に来た看護師は、時折羨ましそうな視線を向けてくる。「旦那さん、本当に優しいですね。毎日付き添ってくれて」私はただ微笑むだけで、何も言い返さなかった。こういう表面的な取り繕いこそ、彼が最も得意とすることではないか。だが夜になり、私が熟睡していると思い込んだ彼は、こっそりトイレに隠れて萌香を慰めていた。「萌香、君は将来海外に留学する身だ。家庭という枠に君を縛り付けるような真似は、俺はしたくないんだ」三年前、律希は突然、生活の困窮していた萌香への援助を始めた。彼女が一度は諦めた大学へ進学させ、さらには彼女の未来のキャリアまで事細かに計画してやった。萌香を家庭に縛り付けること、それは彼にとって、あまりにも「惜しい」ことなのだろう。結婚して以来、彼は私が外で働くことを嫌がり、私の服飾デザイナーの仕事を辞めさせた。その時の口実は、実に耳に心地よいものだった。「琴音、俺がこんなに稼いでいるのは、君に俺の妻として気楽に過ごしてもらうためなんだよ」結局のところ、私は彼という飼い主に、水槽の中で泳ぐことだけを許された観賞魚に過ぎなかったのだ。退院の日。

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