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第778話
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交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第780話
金城グループが終わってしまえば、明凛と悟も終わりを迎える。だから、悟の恋愛まで終わらせるようなことはできない。「あいつは君が既婚者で、俺ら夫婦の仲も良好だって知っていながら、いつもいつも君に付き纏ってくるな。しかも君は前、あいつとは姉弟のような感情しか持っていないと言っていたよね。もし俺がヤキモチも、喧嘩もしなかったら、今だに唯花さんもあいつが君に妄想を抱いているなんて知らなかっただろうし」そう言いながらも理仁は嫉妬心剥き出しで、唯花の額を突っついた。唯花は額を触り、無実だと言わんばかりに話し始めた。「小さい頃に知り合って、彼の成長を見てきたの。ずっと自分の弟として接してきたわ。それがまさか私のことを好きだなんて思ってもみなかったわ。私にはどうしようもできないわ。別に私から彼に好かれるような行動をわざと取っていたわけじゃないもの」唯花は言いながら、彼の腕に手を回し、一緒に外へと向かいながら言った。「私を好きな人がいるってことは、おばあちゃんの目に狂いがなかったってことじゃない。おばあちゃんは良い奥さんを選んでくれたのよ」理仁はそれを聞いて失笑した。「うんうん、確かにばあちゃんの目に狂いはなかったよ。俺にこんなに素晴らしい奥さんを見つけてくれたんだからね」「でしょ、私はあなたの最高の奥さんよ。あなたみたいにねじ曲がった性格の人を、私だからこそ受け入れてあげられたの。もし、他の女性だったら、大喧嘩してとことん冷戦を長年続けることになっていたでしょうね」この時、理仁は心の中で、もし唯花ではない他の女性だったら、結婚など絶対にしないと思っていた。「俺の可愛い可愛い奥様、だったら引き続き寛大に俺を受け入れてくれよ。俺たちの人生はこれからまだまだ続いていくんだ。俺はきっと百歳まで生きて、君は九十五歳まで生きると思う。だからあと七十年間寛大でいてくれよ」唯花は彼を見つめ、それは納得できないという顔をしていた。「あなたが百歳まで生きられるのに、なんで私は五年少ないのよ？」「俺は君より五歳年上だろう？俺が百歳になった時は、君は九十五歳だ。これなら俺たちは死ぬ時も一緒にいられるだろう？」唯花「……」この身勝手な男め。彼女がちょうど百歳まで生きて、彼はその時百五歳でもいいんじゃないか？そうすれば夫婦二人とも百歳まで生きたご長
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第779話
唯花は頷いてから、彼にひとこと付け加えるように言った。「あなたも自分のコートを着て行くのよ。もし身体が冷えて風邪でも引いたら、またあの漢方薬漬けの日々よ」理仁「……君に毎日見張られているんだ。どこに風邪を引く勇気があると思う？」あの数日間の妻監修による漢方薬漬けの日々を、彼は一生恐れるだろう。理仁は部屋に戻り唯花のコートを取り、自分もコートを羽織った。そして部屋から出てくると、携帯が鳴った。それは彼の携帯ではなく唯花のだ。彼女は携帯を取り出して暫くその画面を見つめ、訝しそうにしながらそれに出た。「もしもし、どちら様でしょうか？」彼女がそのように相手に尋ねているので、理仁はそれが知らない人からの電話だとわかった。電話の向こうの人物はすぐには話さなかった。唯花はまた口を開いた。「すみません、どちら様ですか？」「唯花姉さん、俺です」聞き慣れた声が聞こえてきて、唯花の顔色は一瞬で不機嫌になり、すぐに電話を切ろうとした。「唯花さん、切らないでください。ちょっとだけ話したいだけなんです。俺は邪魔もしに行ってないし、会いに行ってもいなくて、もうどうかなってしまうそうで」琉生は電話越しに唯花に電話を切らないでほしいと懇願した。彼はずっと耐え忍んでいた。母親が本気で唯花に何かするのではないかと心配していて、狂うほど彼女を一目でも見に行きたい気持ちをぐっとこらえていたのだ。本屋に唯花に会いに行くのも、電話をするのもできなかった。彼の電話が母親から監視されているせいでだ。彼はこの時、大金をはたいて監視役のボディーガードを買収し、彼の携帯を借りて唯花に電話をしているのだ。この電話一本かけるのも、かなりの時間と労力を要した。唯花はひとことも発せず、すぐに電話を切ってしまった。琉生はかなり長い間彼女の前に姿を現わしていなかったし、電話もかけてきていなかった。これは明凛のおかげだということを知っていた。こうすれば琉生を諦めさせて新しい人生を歩ませることができると思っていたのだが。しかし、思いもよらず、琉生は再び電話をかけてきたのだった。「誰からだった？」理仁は彼女の顔色が悪くなっているのを見て、相手が誰なのか尋ねる以外、他には何も聞かず、少しおかしいと思っていた。彼は彼女の肩にコートを羽織らせながら、尋ねた。「迷
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第778話
理仁はコンロ周りを綺麗に拭いて、布巾を綺麗に洗い、両手を水で洗い流し唯花のほうへ体を向けた。そして、両手を彼女の顔にあて、少しだけつねって笑った。「さっき言っただろう、君が学びたいなら、学んで、嫌ならしなくていいって。俺はどちらでも気にしないよ」唯花は彼の手を取って、一緒にベランダまで行きハンモックチェアに腰かけた。彼女は彼の肩に頭を傾けて寄りかかり、一緒に外の高層マンションを見つめていた。「普段この時間帯なら向かいのマンションだって明りがたくさん付いてるよね。今は明りが消えてる部屋も多いし、年越しで実家に帰ってるんでしょうね」「明日の朝、俺たちも帰るだろ。ばあちゃんに言っておいたから、俺らが泊まる部屋は掃除しておいてくれたってさ」理仁は彼女の肩を抱き、二人は顔を寄せ合った。この瞬間は甘く温かかった。「唯花さん、結城家の実家はすごく年季が入った家なんだ。行ってから、嫌な気持ちにならないといいけど」「どれだけ古いの？土壁の家？それとも茅葺なの？」それを聞いて理仁は笑った。「さすがにそこまで古くはないよ。先祖代々から続く昔の家さ。毎年修繕はしているけど、その昔の雰囲気はやっぱりどうにもできないんだ。それに、一族はみんなそこに一緒に住んでるし、前に確か君に話したことがあったような気がする」「どのくらい広いお家なの？」「うちの先祖は大正に商売を始めて、少しずつ財産をためていってかなり大きなお屋敷を建てた。当時、その家はかなりの豪邸だったんだ。母屋があって、それを中心に書院や多世代が同じ敷地内に暮らすための離れがあって、もちろん庭も共有してる形のね。だからみんな敷地内へは一つの同じ門から出入りしていたんだ」「現代ではそういう造りはもう見られないわね」「そうだね」「そのお宅は大正時代に建てられたものなんでしょ、今でも人が住めるの？よく保っているわね」理仁は軽く笑った。「まさか君は結城家が貧乏だって思ったりしないよね。金がないから新しく家が建てられなくて、みんな今でもその古い邸宅で暮らしてるって」彼の祖父母の代から、彼ら結城家はその先祖が残した家から引っ越し、今の琴ヶ丘邸に住んでいるのだ。理仁たち若者の代にとって、この琴ヶ丘邸こそが実家なのだ。そして若者世代はみんな自分名義の邸宅にそれぞれ住んでいて、正月にはそこへ帰
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第777話
悟が告白に失敗していた頃、理仁夫妻のほうは数日会えなかったことで発生した甘々新婚気分を満喫していた。夕食を終えた後。唯花はソファに座ってテレビを見ていて、理仁はキッチンで食器を洗っていた。唯花はこのような生活にとても満足で、幸せを感じていた。暫く座っていた後、彼女は立ち上がりキッチンへと向かった。キッチンの入り口のドアに寄りかかり、理仁が食器を洗う姿を見ていた。「テレビはもういいの？」理仁は彼女の目線にすぐ気づき、後ろを向いて彼女をちらりと見ると、また食器洗いの続を始めた。「いつも別に何かのドラマは見ていないから、何を見ればいいかわからないのよ。チャンネル変えても何も面白そうなのなかったし。なんか最近のドラマって昔と比べてあまり面白くないのよね。特殊効果も大袈裟っていうか、たぶん私が年取ったからなのかもね。だから、見ていられないのよ」理仁は失笑した。「まだそんな年じゃないのに、年取ったって？君はいつも夜遅くに帰ってくるんだから、ドラマを見るような時間なんてないだろう？」少し黙ってから、彼はまた続けた。「俺もテレビを見るような時間なんてないし、ドラマなんてなおさらだ。だけど、君がさっき言ったのは確かにその通りだと思うよ。うちの会社の傘下には映画関係の会社があるんだ。その会社が撮影したドラマ、君が好きかどうかわからないけど」「まあいいや、見ないでおこう。もし、それにはまっちゃったら、毎日ドラマを見て何もしたくなくなっちゃうかも。まだハンドメイドの商品をたくさん作らないといけなくて、そんな時間ないし。そんなことしてるよりもたくさん商品を作ってお金稼いだほうがいいわ」仕事の話になって、唯花は突然理仁に尋ねた。「理仁さん、お義母さんから、礼儀作法とか習いに行ったらどうかって聞かれたことあるんだけど、行ってみようかな？もしかしてお義母さん、私の行動を見ていてちょっと気になるところがあったから、私にそう言ったんじゃないかな？」理仁はお皿を洗う手を止め、言った。「そんなことないよ。母さんは君のことを気に入ってるし。ほら、あの母さんが来た日だって、母さんは俺にキッチンで働けって言って君のほうを味方してたろ。もし母さんが君のことを気に入らないなら、そんなことしないよ」たとえ母親が唯花のことがあまり好きでなくても、彼が態度を変えたり
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第776話
悟は九条家の人脈を使って、明凛については先祖代々まで何でも調べあげていてわかっているのだ。彼女のおばあさんが何人の子供を産んだか、育ててきたかまで知っている。しかし彼女のほうは何も知らない。悟は自分が知らない家族のことすら知っているのだ。彼女はただ父親は兄妹の五人兄弟なのだと知っていて、祖父母は五人の子供を産んだと思っていた。ある時、どんな話題になったのかは忘れたが、悟が彼女の父親には兄弟姉妹が九人いたが、五人が無事に大人になり、他四人は赤ん坊のころに不幸にも亡くなったということを話したことがある。明凛はその話を聞いた時、驚いてしまった。彼女は家に帰った後父親に尋ねてみたが、そんなことは父親ですらも知らなかった。それでまた祖母に確認してみたところ、事実を教えてもらったのだった。昔の生活は条件的にも厳しく、田舎のほうではたくさん子供を産む習慣があった。しかし、やはり医療もそこまで発達しておらず赤子の頃に亡くなってしまう子供も少なくなかったのだ。そして、彼女の祖母はどうして知っているのか尋ねてきた。なぜなら、その亡くなった四人というのは先に産んだ四人で、今無事に大人になっているのはその後生まれた五人だからだ。それで、彼女の父親は自分にはもともと他に兄姉がいたことなど知らなかったのだ。この件で、明凛は九条家というのは彼女の想像以上にすごく、恐ろしい一族だと思い知ったのだ。彼女が唯花に言った話をまたここで持ち出すと、彼女は悟の前ではまるで裸同然で、何も秘密にすることなどできないだろう。しかし、一方彼女のほうは、悟については一切何も知らないのだ。だから彼女は不公平だと思うとともに怖いのだ、悟と九条家の力が。それで、彼女は悟のことが好きではあるが、すぐにそれを受け入れることができないでいた。もう少し彼のことを知ってから決めようと思っていたのだ。悟は少しがっかりしていたが、それでも諦めずに彼は言った。「わかりました。お待ちします。いくら時間がかかっても、俺はずっと待っていますから。明凛さんが俺のことを納得いくまで知って、彼女になっていただけるまでね。それに、あなたが俺と結婚して妻になってくれるまでずっと待ち続けます。ですが、明凛さん、ちょっと教えてもらいたいんですが、どうして今すぐ彼女になるのは嫌なんですか？恋愛中だって
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第775話
明凛はそう言いながら、悟のほうを見ていた。悟は瞬時に相当なプレッシャーを感じた。なぜなら彼自身、料理の腕はいまいちだからだ。彼は理仁のようにホテルのシェフに劣らないほどの料理を作ることなどできない。彼は心の中で親友に愚痴をこぼした。こんなことされては、彼ら独身貴族は隅へと追いやられて、結婚相手を見つけるのも難しくなってしまうではないか。「牧野さんも絶対に幸せになれますよ」悟は料理の腕は全く駄目だが、妻にはかならず優しくできる自負があった。もし彼が明凛と結婚できれば、絶対に彼女を幸せにしてみせる。明凛は笑った。「今は将来自分が幸せになれるかどうかなんて判断できないじゃないですか。恋と結婚は全く別物です。恋愛中はずっと甘い日々を過ごすでしょうけど、結婚したら現実に戻らなくっちゃ。恋愛中にわざと隠していた自分の欠点も結婚してから相手に絶対バレるでしょう？お互いに許容し合うことができるかどうかは、婚姻を長く続けさせる秘訣ですよ。九条さんって料理はあまりできないんですか？」悟は正直に答えた。「作ったことはありますが、どうも下手で、頑張ってどうにか一つ料理を作るくらいならいけるでしょうね。明凛さん、結婚相手にはシェフになれるくらいの料理の腕がある人をご所望ですか？」彼はもう「牧野さん」とは呼ばなかった。彼女と知り合ってから結構経っているから、その呼び方ではなんだか距離がある感じがしたのだ。昔は男のほうが女性に対してシェフ並みに料理ができるのを期待していたが、現代は逆転し、女性が夫にそれを求めるようになったのか？これも全てあの結城理仁ができてしまうせいだ。同じ男で、同じ名家の出身だ。理仁はどうしてあんなに優秀なのだ？まるで何でもできるスーパーヒーローのようだ。結城おばあさんがあまりに息子や孫を教育してしまうせいだと言うべきだろう。彼らを一人一人優秀な男に育てあげ、各方面において何でも上手にこなしてしまう。「うちのシェフが作る料理は天下一品ですよ」と悟は付け足しておいた。明凛はおかずを箸でつかんで言った。「別に将来の夫にシェフになれるほどの料理の腕を求めているわけじゃないですよ。ただ誰だってできることだから、結婚したら、順番に料理するべきだと思ってるだけです。それだったら、私もそんなに疲れないじゃないですか。夫婦は平等
