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第5話

Author: 九月待ち
意識が遠のく中、誰かに抱き上げられた気がした。おそらく颯哉だろう。

耳元で聞こえた彼の声は、今まで一度も聞いたことのないほど震えていた。

「朝、しっかりしろ!お願いだから……」

皮肉なものだな。

10年間付き合ってきたのに、あんな慌ただしい声を聞いたのは初めてだった。

しかも、それを聞けたのが、私が死にかけていた時だったなんて。

次に目が覚めると、目に入ったのは真っ白な天井だ。消毒液の匂いが鼻をついた。

そっと指先を動かしただけで、胸に裂けるような痛みが走ってる。

ベッドの脇では、颯哉が突っ伏したまま眠っていた。

物音に気づいた彼は勢いよく顔を上げた。

私と目が合った瞬間、彼の目がみるみる赤くなった。

「朝……目が覚めたのか。先生から、あと少し遅かったら命を落とすところだったって聞いた。

俺がどれだけ怖かったか分かるか?」

私は顔を背けた。

そんな芝居じみた顔なんて、もう見たくもなかった。

「……母さんのお葬式は?」

数秒黙り込んでから、彼が言った。

「もう火葬は済んだ。遺骨は斎場で預かってもらってる。いつでも迎えに行けるよ」

私は白い天井を見つめた
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