Masuk国王と王嗣の逝去が報じられ、国中が喪に服した。1か月間、娯楽などが自粛され、テレビ局のアナウンサーは黒いネクタイで現れた。事故の原因は、トレーラーの運転手の、突然の病死であった。運転手には持病があり、意識を突然失ってしまって起こした事故だった。テロではなかった。
一般の葬儀にあたる大喪の礼、葬場殿の儀が滞りなく執り行われた。瑠璃子と弘子は宮殿を明け渡すため、別の御所へ移り住んだ。宮殿の中はリフォームされ、尊人や君子、その他大勢の近衛兵、宮内庁職員が入居した。
そして逝去後1か月が経ち、尊人の即位の礼が行われる事になった。今までの自粛ムードから一変、今度はお祝いムードが漂い始める。即位の礼では、三種の神器である勾玉、剣、鏡を受け継ぎ、宮殿の外へ出て、国民の前で即位を宣言する。この日の為にリハーサルを行い、念入りに用意がなされた。
そして11月の下旬、すっきり晴れた朝である。
「尊人様、お似合いです。」
首相が出迎えて、そう言うとともにひざまずいた。尊人は今、萌黄色の民族衣装を身に纏い、同じ色の烏帽子をつけていた。健斗と未来は着物の裾を持って後ろに控えていた。彼らは黒子のようになっていた。警備をする都合上、民族衣装などを着ているわけにもいかず、けれども近衛兵の恰好をしていたのでは場の雰囲気にそぐわない。そこで、近衛兵の制服の上に、黒くて薄い仮装束を羽織り、頭には黒い烏帽子を付けていた。
尊人と未来と健斗は、広場に敷かれた赤い絨毯の上を、宮内庁の職員に先導されて歩いて行った。雅楽が演奏される。1万人もの国民が見守る中、テレビ中継もなされ、厳かにその儀式は始まった。大勢集まっているにも関わらず、とても静かだった。
国民に一番近いところに儀式台が置かれ、尊人がそこへ上がる。首相と宮内庁の職員がそれぞれ神器を持ち、尊人に授けるというのが即位の礼だ。尊人が台へ上がった。国民の方を向く。国民は息をのみ、その姿に見入った。健斗と未来は足元にひざまずいた。首相らが、三種の神器を持って歩いてきた。そして、尊人の前に差し掛かったとき、
「カン!」
「カン!」
と、金属音が2回響いた。健斗は立ち上がって尊人に覆いかぶさった。首相のSPが大勢なだれ込んできて、首相に覆いかぶさる。その場は騒然となった。尊人のSPたちも駆けつけ、盾を持った警官隊が尊人たちを囲んだ。
「あ!健斗!健斗が!」
尊人が叫んだ。健斗の脇腹から血が流れていたのだ。
「大丈夫だ。取り乱すな。」
健斗が顔を歪めながら、かすれた声で言った。
「黙っていろ。後は俺に任せろ!」
未来はそう言って、尊人を連れ、宮殿の入口へと向かった。他のSPたちも共についてきた。
「未来!健斗が、健斗を置いて行けない!」
尊人が叫んで振り返ると、
「狙われてるのはお前なんだよ!健斗は救急車で病院だ!お前は早く建物の中に入れ!そうしないとまた誰かが撃たれるぞ!」
未来は尊人の肩を掴んで、尊人の目を見て、そう言い聞かせた。尊人は観念して、未来に腕を引かれて宮殿へ走った。
首相はとっくにSPに囲まれながら宮殿へ到着していた。首相のSPは、何を置いても首相を守る事になっている。たとえ国王がどうなろうと。そして、SPの数は国王よりも首相の方が多い。
その後、ある程度落ち着いてから、宮殿の一室で会議が開かれた。尊人は民族衣装から普段着に着替えていた。
「大変な事になりましたな。」
大臣や宮内庁職員、警視庁の重役など尊人を含めて8名の会議だ。
「犯人は国民でしょうか。それとも、我が国を快く思っていない外国人でしょうか。」
ある大臣が発言した。
「我が国の国民でしょうね。私の即位に異を唱える者でしょう。外国人なら何も今日でなくてもよい。即位したのち、国王になってから倒した方が、世界的にインパクトがあります。即位する前に私を亡き者にしようとするのは、我が国の民としか思えません。」
尊人は言った。
「国王制に反対する者なのか、それとも、尊人様のご即位に反対する者なのか。」
首相がつぶやくように言った。その場にいた皆がため息をつき、頭を抱える者もいた。
「とにかく、怪我人が出なくて良かった。」
誰かがつぶやき、何人かが頷いた。未来は部屋の隅に控えていたが、それを聞いてぱっと尊人の顔を見た。健斗は今も病院にいて、重体だ。しかし尊人は取り乱すことなく、落ち着いた様子で未来を見た。そしてちょっと頷いて目配せしてよこした。未来は面食らった。そして、さすが尊人だとえらく感心した。SPが怪我をすることなど、彼らは何とも思っていないのだ。だが、ここで何か言っても仕方がない。それを尊人は良く分かっている。おそらく、内心では健斗の事が心配で心配でたまらないだろうに。
大統領が外国訪問する際は、パートナーと共に大統領専用機で出かける。以前、遥貴が国王として外国を訪問し、その傍に未来がついていたのと、見た目としてはあまり変わらない。歩く順番が変わったくらいだった。遥貴も友好国の首脳、国王たちとは既に面識があり、「ずいぶん大人になられましたな。」「お勉強の方はいかがですか?」などと声をかけてもらえた。遥貴は春から大学に進学し、クローン技術について学ぶべく、まずは生物やバイオテクノロジーについて勉強していた。 遥貴にとっての故郷、イギリスにも訪問した。すると、かつて遥貴が通っていた学校の先生や、友達数人が会いに来てくれた。「まさか、あなたがKingになるなんてね。先生驚いちゃったわ。」「僕も驚きましたよ。こっちに住んでいた時には、父が国王だったなんて全然知らなかったのですから。」「それと、ご結婚おめでとう。以前言ってたわよね、たまにしか会えない人がいて、外国に帰ってしまって悲しくてつらいって。もしかしたら、その人があなたの大統領?」「先生……全てお見通しですね。」遥貴は照れて頭をかいた。「よかったわね。」先生は遥貴にハグをしてくれた。あの頃も、守ってくれた。未来が帰ってしまって悲しくてふさぎ込んでいた時も、先生はハグしてくれて、遥貴の話を聞いてくれたのだった。「先生、みんな、お元気で。」「遥貴、また遊びに来いよ。」「またうちに遊びに来てね。」友達も口々にそう言ってくれた。懐かしい人たちとのひと時だった。 5年後。遥貴は大学を卒業した。未来の大統領任期も終わった。初めて、何でもない「人間」になれた遥貴だった。大統領のパートナーでもなく、王族でもなく、実は身柄を狙われている国王の隠し子でもなく。誰も注目しない存在。そして、住むところも自由、行くところも自由。「これが「人」なんだな。あぁー!僕は自由だあー!」新しく住むところを見つけ、未来と共に引っ越した一戸建ての住宅。首都郊外の高台にある家だった。その家の寝室、置いたばかりのベッドに横になって、遥貴は叫んだのだった。「ん?どうした、急に。」未来が現れて、くすっと笑った。未来は実年齢よりもだいぶ若く見えた。実はもうすぐ50歳だが、30代の頃と変わらない。若い恋人がいれば自然とそうなるのかもしれない。恋人とはいえ配偶者だ。きちんと籍を入れていた。「僕や
そして投票日前日を迎えた。夜8時まで街宣車で周り、宮殿に戻ってきた未来は、遥貴の部屋へ直行した。「遥貴!」部屋へ入ってくるなり、机で勉強していた遥貴の元へ大股で歩いてきた未来。遥貴が立ち上がると、未来はがしっと遥貴を抱きしめた。「未来、お帰り。どうしたの?」「ただいま。もうこれで、どっちに転んでも終わりだな。」「うん。」「遥貴。」未来は遥貴の両肩に手を置いて、体を離した。顔をじっと見る。「何?」「もし俺が大統領になったら、俺と結婚してくれ。」「え?何言ってんの?この国では同性同士は結婚できないし、それに、僕には戸籍がないよ。」いきなりのプロポーズに、遥貴はあたふたとしてそう言った。「だから、俺が大統領になったら、それは全部クリアするだろ。俺と一緒に、大統領官邸で暮らそう。な?」背の高い未来は、遥貴の顔を覗き込むようにして言った。「もし、大統領になれなかったら?」遥貴が上目遣いでそう言った。「そうしたら、次の大統領選に挑戦するから。それで、大統領になったら結婚しよう。」「じゃあ、未来が大統領にならないと結婚できないんだね。」遥貴はおかしくなって、ぷっと噴き出した。そして、2人でひとしきり「あははは」と笑った。「遥貴、俺と一緒に暮らしてくれるか?これからも。」未来が問う。「うん。」遥貴は力強く頷いた。 大統領選投票日。朝から晴れ間が広がり、多くの国民が投票所に足を運んだ。今までの代議士選挙とは比べ物にならないくらいの投票率で、夜には開票作業が始まった。この国は開票作業が早い。電子化された投票は、瞬く間に集計された。「山縣未来氏、当選確実です!」各テレビ局が一斉に伝えた。未来の得票率が50パーセントを越えたのだ。未来が現在住んでいるのは宮殿なので、宮殿の広間で未来や応援陣営が当落の報告を待ち、報道陣も多数詰め掛けていた。当選確実の報がもたらされたのは、報道陣の方が先だった。ある記者が電話を取り、「山縣さん、当選確実出ました!」と叫んだ。他の記者たちもほぼ同時に電話で報告を受けており、カメラマンはフラッシュをたき、リポーターはテレビカメラに向かってしゃべり始める。未来や応援してくれた人たちは、思わず万歳をした。 そこへ、遥貴がらせん階段を下りて来た。いつも宮殿で報道陣の前に出る時には、スーツか民族衣装といった王らし
「はあ?何言ってんだよ。」翌朝、尊人と遥貴が早速話しに行くと、未来は呆れ顔でそう言った。しかし尊人は食い下がった。「よく考えてみなよ。こんな子供が大統領なんてありえないだろ。どうせ何でも未来の言う通りだ。それじゃあ結局国民を裏切っているのと同じだ。大統領として飾られているだけの、人形になっちゃうんだよ、遥貴が。」未来はハッとした。尊人がかつて、散々嫌がっていた「お飾り人形」。国王はお飾り人形だ、人間になりたいんだ、と言っていた。国王でも大統領でも、同じことなのだ。その事に、やっと未来は気づいた。「だから、大統領には未来がなればいい。僕が応援演説をする。まだ立候補者を替えられるだろ?」遥貴が言うと、「いや、でも……。」未来の頭の中で、コンピューターがヒートアップする。政治的取引があって、今の状況がある。ここで交代したらどうなるのか。自分が大統領になるなんて、考えた事もなかった未来は、まずは自分がなるかならないかよりも、周りの反応の事ばかり考えた。「お前を擁立することで、国民主権党は第一党になれたんだ。ここで遥貴が立候補しない事になったら、どうなる?話が違うと言って国民が怒るんじゃないのか?」「それは、僕が説明すれば大丈夫でしょ。応援演説はそのためにあると言ってもいい。」遥貴が意外にも大人びた事を言うので、未来は遥貴の顔を凝視した。「だが、お前はこれからどうするんだ?国王でなくなり、俺が大統領になったら、その後お前は一体……。」未来が言うと、「僕は、大学に行こうと思う。大学で遺伝学を学んでみたいんだ。クローン技術の事をもっと知りたい。これから世界中で、もっと僕みたいな子供が生まれるかもしれない。それが良い事なのか、良くない事なのか。自分で確かめたいんだ。」遥貴の顔は晴れ晴れと輝いていた。いつの間にか、自分のやるべき事を見つけていた遥貴に、未来は驚きを隠せなかった。 大統領選の告示。街頭の選挙ボードには、ポスターが貼られた。やはりと言うべきか、30枚ものポスターが並ぶ。立候補には多少のお金が必要だが、高額でもない。大学の受験料より少し高いくらいだった。記念受験ならぬ、記念立候補が目立つ。 一番上の段に張り出される、ひときわ目立つポスターがある。そこには真ん中に未来の顔が、下に少し小さめに遥貴の顔の写真があった。「大統領候補、山縣未来」の
任期満了に伴う国会議員選挙が行われる事になった。そこで、大統領制実施を掲げる国民主権党は、党首演説でこんなことを言った。「我々の目指す大統領制では、大統領候補は政党から出すものではありません。今まで通り、国会議員の第一党の党首は、首相として内閣を組閣します。内閣とは別に、大統領が存在するのです。今の国王がなさっている仕事は、ほぼ大統領が受け継ぎます。我々は、我が国最初の大統領には、現国王の遥貴様がふさわしいと考えております。もちろん、国民による選挙の結果選ばれるのが大統領ですが、我々は遥貴様を推薦致します。」この発言により、世論がぐっと国民主権党に傾いた。更に、現首相の汚職事件がリークされ、現政権の信用は失墜した。誰がリークしたのかは、言わずもがなである。 そうして、投票が行われ、国民主権党が第一党になり、首相が交代した。ここまでは、今までの政治システム通りに動いた。そして、これから大統領を存在させる事になる。数カ月ののち、いよいよ大統領選挙が行われる運びとなった。立候補予定者は20人を超えた。政党に属してはいけないという事で、政治家が政党を離党して立候補したり、芸能人や元スポーツ選手などの著名人、大学教授や宗教家、ユーチューバーなどなど、多岐に渡ったラインナップだった。遥貴がその中の1人になるのは、何となく不似合いだった。そういう世俗的な、下々の競争の中に放り込まれるのが、どうも不釣り合い。国民が皆そう感じたと言っても過言ではない。ましてや、身内は尚更である。「なあ未来、本当に遥貴に立候補させるのか?」当然父親の1人である健斗も苦言を呈する。もう1人の父親である尊人は、事情が分かるだけに何も言わなかったが、あまり賛同している様子ではなかった。「ねえ未来、僕は奥さんをもらいたくないが為に、大統領になるのか?それっておかしくないか?そもそも、僕に大統領が務まるのだろうか?結局国王とやる事は同じなのか?」遥貴自身も不安を隠せずにいた。「世襲制か、選挙で選ばれるか、の違いだよ。だが、大きな違いだろ?無理に子供を作る必要がなくなるんだから。」未来が言うと、遥貴は大きくうんうんと頷いた。「なるほど、やる事は同じでも全然違うね。僕がダメな大統領だったら、次は違う人を皆が選べばいいんだものね。でもさ、僕はこの選挙に勝てるのかな。勝てないような気がするんだけ
それから数日ほど経って、首相がお見合い写真をいくつか持って来た。だが、遥貴はそれを開いてもみなかった。「未来、やっぱり僕、王妃を迎えるのは嫌だ。嘘でも他の人と結婚したくない。」夜になって、遥貴はそう言った。ここの所考え込んでいる事の多かった遥貴だった。今、未来の腕枕に頭を乗せ、天井を見つめながら力強くそう言った。「それで?国王を辞めるのか?それとも国王のままで、俺と結婚する道を探すか?」未来も天井を見ながら言った。「僕は、未来と一緒にいられるなら、どっちでもいい。ただ、僕が国王でなくなった時、僕に何の価値があるのか、それが分からない。」そうだ、これだけ帝王学を叩きこまれたのだ。今更普通の人生に戻れと言われても困るだろう。「それじゃあさ、国王を辞めて、大統領になるというのはどうだ?」未来が言ったので、「は?」遥貴は驚いて体を反転させた。「僕が大統領に?それはどうかな。大統領っていうのは選挙で選ばれるんだろ?それに、年齢制限だってあるんじゃないのか?」「いやいや、何せこの国にはまだない制度だからな。これから作るんだから、被選挙権は18歳以上に与えられる事にすればいいんだ。選挙なら、勝てるだろう。お前なら。」未来がそう言った。そこは考えていなかった遥貴は、何と言って返せばいいのか分からなかった。「未来はいろんな事を考えるね。頭の中どうなってんの?」遥貴が言って未来の頭を軽く小突くと、「お前のダディにもよく言われたよ。」と未来が言って笑った。 未来は、大統領制を推進する、国民主権党と接触した。もし遥貴を大統領候補にしてもらえるならば、王制復権党を潰す手伝いをする、と持ち掛けた。国民主権党からしても、国王の人気が高いがゆえに、現政権を倒す事が現実的とは思えずにいたのである。国王の方から大統領制を推してもらえれば、国民の意向も変わるだろうと思えた。 その、未来が留守にしている時に、首相が遥貴の元を訪れた。突然の訪問であった。勉強の最中だった遥貴だが、首相の面会に応じた。「陛下、王妃候補は選んでいただけましたでしょうか?」首相は表面上はにこやかに言った。「いえ、まだ選んでいません。しかし、私は健康でまだ若いのです。そう急がなくてもいいでしょう。」遥貴がそう言うと、首相は困った顔をした。そして、何かを思いついたように、背もたれにより
遥貴の、18歳の誕生日がやってきた。宮殿のバルコニーには、尊人や君子、瑠璃子も並び、そこへ王冠をかぶった遥貴が登場し、国民の祝福を受けた。これを、1日に何度か繰り返す。国民はそのたびに入れ替わり、のべ10万人が訪れた。 首相が宮殿へやってきて、遥貴にお祝いの言葉を述べた。それから、やはりというべきか、こんな話があった。「陛下もやっとご成人あそばされまして、何よりでございます。つきましては、王族の安泰の為に、是非王妃を迎えていただきとうございます。」その場には遥貴と未来と、尊人と健斗がいた。場が一瞬凍り付いたようだった。尊人もかつて首相からそんな風に言われ、拒み、だが結局王妃を迎えた。「しかし、まだご結婚は早いのでは?陛下はともかく、お相手の女性だって、18歳では早すぎるのではないでしょうか。」未来が思わず言った。遥貴は考え込んでいて、何も言わなかった。「形だけでも構わないのです。お子様をお持ちになるのはもう少し先でも構いませんし。ただ、公務に支障が出てきますので。お相手を年上にするという手もありますね。2歳くらい年上でも構いませんよね、陛下。」首相は馴れ馴れしく遥貴に問いかけた。遥貴は首相の顔を見たが、返事をしなかった。「とにかく、候補を選んでおきますので。それでは、失礼します。」首相は深々と礼をして出て行った。「遥貴。」尊人が優しく遥貴に声をかけ、肩に手を乗せた。「パパはあの、麗良さんと結婚したんだよね?形だけの結婚を。」すっかり低くなった声で、遥貴はそう言った。「遥貴、大人になった事だし、パパは辞めて父上にしようか。健斗の事はダディでもいいけれど。」尊人がそう言った。「父上?そうだね、じゃあ、父上、結局麗良さんとは別れて、父上はダディと、麗良さんは他の男性と結婚したよね。僕がこれから選ばれた人と形式上の結婚をしたら、相手の女性は幸せになれるのかな?どう考えても、幸せじゃないよね?」遥貴が言う。「そうだね。でも、王妃を迎えないのは、現実的には難しいかな。」尊人が静かに言う。「僕は、未来と結婚する。」遥貴が言うと、未来は、「お前が誰と結婚しても、俺はずっと傍にいてお前を守る。心配するな。」と即座に言った。遥貴は未来をじっと見た。未来は頷いて見せた。分かっていた事だ。遥貴が王妃を迎えるであろうこと、もし遥貴にその気がな