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第672話

Penulis: 大落
立花市に来た最初の朝は、格別に優しかった。

未央はほとんど一睡もしていない。

満一歳になったばかりの娘の愛理は、新しい環境に少し不安を感じているようで、時折、ふと泣き声を漏らしていた。

彼女は娘を抱いたまま、リビングのソファに静かに座り、大きなフランス窓の向こうで、紺色の空が少しずつ白みを帯び、夜が明けていくのを見つめていた。

朝焼けが薄い霧を貫き、きらめく川を温かい金色に染め上げてきた。

昇りゆく太陽は、この街を優しく包み込み、そして、彼女の疲れ果てた心をも包んでくれるかのようだった。

「ここはいい。空気だって虹陽より甘い感じがするな」

父親の宗一郎の声がバルコニーから聞こえてきた。

彼は朝早くから起きて、快適なトレーニングウェアに着替え、広々としたバルコニーでラジオ体操をしていた。

雄大な川の景色を眺め、湿気を含んだ清々しい空気を吸いながら、皺を刻んだその顔には、久しぶりに笑みが浮かんだ。

父の様子は、未央に、この新しい環境で暮らしていく最初の勇気を与えてくれた。

腕の中の愛理もこの平穏を感じ取ったようで、次第に泣きやみ、真っ黒な大きな目をくりくり動かして、こ
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