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余生は、花火のように燃え尽きる

余生は、花火のように燃え尽きる

By:  温かい栗Completed
Language: Japanese
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私は陸村志之(りくむら しの)と7年間付き合っていた。 だが、彼が起訴され収監されたとき、私は彼の元を去り、彼の一番の親友と付き合うようになった。 志之は出所後、立ち直ると、あらゆる手段を使って私に結婚を迫ってきた。 世間の人は、彼が本当に私を愛していると言った。 しかし、誰も知らなかった。 結婚後、毎晩彼は別の女を連れ込んで、私たちのベッドで愛を交わした。私の実の妹さえも例外ではなかった。 それは、私が彼を裏切ったことへの罰だった。 だが、彼も知らなかった。 私は彼の無実を証明するため、マフィアの巣窟に身を投じた。そして、腎臓一つと肝臓の半分を代償に、決定的な証拠を手に入れた。 ただ、私にはもう、あまり時間が残されていない。

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Chapter 1

第1話

「小林さん、本当に来月の尊厳死プログラムを予約して、献体同意書に署名なさるんですか?」

「はい、そうです」

小林純歌(こばやし すみか)は、数値がめちゃくちゃな検査結果を見下ろしながら、苦々しい口調で言った。

「このまま生きていても、資源を浪費するだけです」

全身の臓器が不可逆的に機能不全を起こしており、彼女の命はあと一年も持たない。

ただベッドの上で、残された日々をかろうじて延命するだけなら、いっそ潔くこの世を去って、社会の役に立ったほうがいい。

医師が名残惜しげに見送る中、純歌は病院を後にした。

彼女が家に戻り、玄関のドアを開けた瞬間、寝室から甘く乱れた吐息が聞こえてきた。

元から青ざめていた純歌の顔は、さらに血の気を失った。

彼女は検査結果の紙を隠した後、寝室のドアに寄りかかって、中から漏れる喘ぎ声を聞いていた。

気づけば、彼女の爪は掌の肉に食い込んでいた。

陸村志之(りくむら しの)がこれまでに連れ帰った女は、これで何人目になるのか。もはや彼女には分からなかった。

結婚して二年、志之は毎日のように別の女を家に連れ込み、彼女の目の前で情事にふけった。純歌はそれを避けることすら許されなかった。

ようやく一時間が過ぎ、室内の声も静まり返った頃、志之が上半身裸のまま、寝室から出てきた。そして、ドアのそばに立ち尽くす純歌を見下ろし、冷たく言い放った。

「何をボーッとしてんだ?雫が喉乾いたってさ、水でも持ってってやれ」

純歌は胸が高鳴り、一瞬、自分の耳を疑った。

「……雫?」

彼女は急いで寝室のだドアに駆け寄り、ベッドの上を見やった。

そこには、純歌とよく似た顔立ちの小林雫(こばやし しずく)が、力なく横たわっていた。

彼女は純歌のシルクのスリップを身にまとっていたが、今はすでにボロボロに裂けていた。

純歌の手が小さく震えた。

彼女はゆっくりと顔を上げ、赤くなった目で志之を見据えた。

「あなた、頭おかしいの?雫は、私の実の妹よ!どうして、こんなことができるの!」

志之は彼女の手首をつかみ、乱暴に壁に押し付けた。その深邃の瞳には、嘲笑の色を浮かべた。

「だから何だ?

ああ、そうだな。唯一の家族に裏切られるのは、さぞキツいだろうな?」

彼の声は冷たく、瞳の奥に暗い怒りが滲んでいた。

「純歌。これは全部、お前への報いだ」

純歌はそっと目を閉じ、胸に言いようのない苦しみが込み上げてきた。

彼女と志之は幼なじみで、少年時代から恋人同士だった。そして、七年も愛し合い、結婚も早々に決まっていた。

だが、結婚式の前夜、志之が経営する病院で、突然、臓器売買のスキャンダルが発覚した。

彼本人が首謀者として起訴され、服役することになった。

一夜にして、志之は時代の寵児から囚人へと転落した。

まもなく無罪が確定して出所できることを純歌に信じてもらうため、彼は何度もメッセージを送り、電話をかけて説明した。

しかし純歌は、彼がもっとも苦しく、もっとも彼女を必要としていた時に別れを告げ、彼の親友との恋愛関係を公にした。

起訴も逮捕も冷静に受け止めていた志之は、その知らせを聞いた瞬間、崩れ落ちた。

彼は自殺をほのめかして警察官を脅し、土下座してまで純歌に会わせてくれと懇願した。

彼はあまりに激しく自分を傷つけたせいで、失血によって病院に運ばれた。

しかし、彼が待ち続けた末に知らされたのは、純歌がすでにその恋人とともに海外へ渡ったという知らせだった。

純歌がそんなにも冷酷だなんて、志之は信じられなかった。

彼は他人のスマホを借りて、彼女に何度も電話をかけたが、一度もつながらなかった。体調が優れない中、それでも空港へ向かおうと必死にもがいた彼は、ついに道端で倒れてしまった。

だが、純歌は一言のメッセージすら残さず、背を向けて去っていった。

あの瞬間から、志之は純歌を骨の髄まで憎んでいた。

だから出所後、彼はあらゆる手段を使って彼女と結婚し、その後は毎晩のように彼女を苦しめ続けた。

だが、彼は知らなかった。

純歌は自ら危険を冒し、志之の友人を通じて臓器売買の拠点を突き止めていたのだ。

そして、彼を救う決定的な証拠を得るために、彼女は自分の腎臓ひとつと肝臓の半分を差し出した。
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