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第10話

Auteur: ソフトクリーム
俺が全く表情を変えないのを見て、結衣の目に失望の色がよぎる。力が抜けたように、彼女は離婚届にサインする。

自分の荷物を手に取ると、俺は振り返ることなく会社を後にした。今回は、結衣も追いかけてこなかった。

無事に飛行機に乗り込んで、1000キロ離れたIT企業へと向かった。新しい職場では、俺の特許技術はすぐに評価され、重宝された。昇進もして、給料も一気に跳ね上がっていく。

あっという間に1ヶ月が過ぎていた。美人の上司――藤原秋穂(ふじわら あきほ)に同行して契約を交わしている最中だというのに、ポケットのスマホが鳴りやまない。

「申し訳ありません」と一言断って席を外して、トイレに駆け込んで画面を確認する。

意外なことに、結衣からのLINEだった。最後のやり取りは、【夕飯は一緒に食べられない】という連絡が来たときだ。

それが今、突然、大量の写真を送りつけてきている。ブランド物の高級時計の写真だ。しばらくして、ようやくメッセージが届く。

【間違えて送っちゃった】

【好きなのある?ついでに一つ買ってあげるよ】

俺は眉をひそめ、【時計には興味ない】とだけ返す。

トーク画面はずっと
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    俺が全く表情を変えないのを見て、結衣の目に失望の色がよぎる。力が抜けたように、彼女は離婚届にサインする。自分の荷物を手に取ると、俺は振り返ることなく会社を後にした。今回は、結衣も追いかけてこなかった。無事に飛行機に乗り込んで、1000キロ離れたIT企業へと向かった。新しい職場では、俺の特許技術はすぐに評価され、重宝された。昇進もして、給料も一気に跳ね上がっていく。あっという間に1ヶ月が過ぎていた。美人の上司――藤原秋穂(ふじわら あきほ)に同行して契約を交わしている最中だというのに、ポケットのスマホが鳴りやまない。「申し訳ありません」と一言断って席を外して、トイレに駆け込んで画面を確認する。意外なことに、結衣からのLINEだった。最後のやり取りは、【夕飯は一緒に食べられない】という連絡が来たときだ。それが今、突然、大量の写真を送りつけてきている。ブランド物の高級時計の写真だ。しばらくして、ようやくメッセージが届く。【間違えて送っちゃった】【好きなのある?ついでに一つ買ってあげるよ】俺は眉をひそめ、【時計には興味ない】とだけ返す。トーク画面はずっと【入力中】のままだが、なかなかメッセージは来ない。スマホをポケットにしまおうとしたそのとき、ようやく次のメッセージが届いた。【勘違いしないで。別にそこまでプレゼントしたいわけじゃないし】意味がわからない。結衣の通知をオフにした。同じ業界にいる以上、今後仕事で関わる可能性もあるから、ブロックまでする必要はない。トイレから出ると、秋穂がそこで待っている。彼女の手にある契約書を見れば、無事に契約が成立したのは一目瞭然だ。俺は少し気まずくなって謝る。「すみません、ちょっと急用で」秋穂はふんわりと笑う。「いいのよ。もしかして、彼女の浮気チェック?」適当にごまかそうかとも思ったが、その必要もないと思い直して、正直に答える。「元妻」「元妻?」秋穂は思わず声を上げて、少し声が大きくなってしまう。慌てて周囲を見回して、小声で聞いてきた。「結婚してたの?業界じゃそんな噂、まったく聞かなかったわよ」それも無理はない。結衣とは7年間、結婚を隠し通してきた。疑われないよう、彼女はいつも俺と距離を取ろうとしていたのだ。同僚から同情の目で見られることもあった。「あ

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