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第2話

Author: キララ
そう言い捨てると、私はきびすを返して寝室に戻った。

悠楓は私がそれ以上食い下がらないのを見て、少し驚いたようだった。以前の私なら、絶対に白黒はっきりさせるまで問い詰め、ひどい時には実家に何日も帰り、頭が冷えるまで戻ってこなかったからだ。

私が着替えと洗面用具をまとめて家を出ようとするのを見て、彼は一度安堵したものの、すぐに苛立ちがこみ上げてきた。

「また実家に帰る気か?ちょっと言い合いになったくらいで実家に帰るなんて大げさだろう。今回は何日家出するつもりだ」

私は彼を完全に無視して、そのまま家を出た。

ドアを閉めた瞬間、こらえていた涙が再び頬を伝い落ちた。

あなたがどうしても未練を断ち切れないというのなら、私がこの関係を根こそぎ清算してやるわ。

病院に着くと、結月はすでに目を覚まし、一般病棟に移っていた。私は少しだけ胸のつかえが下りた。

涙を拭い、泣きはらした跡がないことを確認してから、私は微笑みを浮かべて病室に入った。

私の姿を見るなり、結月は痛む体でベッドから身を起こし、抱っこをせがんできた。私は慌てて駆け寄り、その小さな体を支えながら優しくなだめた。

「結月、もう大丈夫よ。ママがここにいるからね」

結月は口を尖らせ、目に涙を浮かべて訴えた。

「ママ、昨日はわざと陽斗を突き飛ばしたんじゃないの。陽斗が無理やりロケット花火で遊ぼうって言って……お部屋の中じゃダメだよって言ったのに、勝手に火をつけて、私に狙いを定めて放ってきたの。

急いで逃げようとしたけど腕を掴まれちゃって……もみ合っているうちに、突き飛ばしちゃったの」

「大丈夫よ。ママはちゃんと見ていたから。結月のことは少しも責めたりしないわ」

結月を優しくなだめ、寝かしつけた後、私は母を呼んで付き添いを頼み、一人で病室を後にした。

病室の外のベンチに座り込んでいると、これまでの辛い記憶が潮のように押し寄せてきて、私を飲み込もうとした。だが、私はこの負の感情から抜け出すのだと固く決意した。

スマートフォンを取り出し、連絡先に登録してあったある番号を迷わずタップした。

「もしもし、伊藤先生。お手数ですが、離婚協議書の作成をお願いします。ええ、一刻も早く進めていただきたいんです」

さすがは凄腕の弁護士だ。数分後には、書き上げられた離婚協議書のファイルが送られてきた。

ざっと目を通した後、私は財産分与について彼と再度協議を重ねた。悠楓には、一円たりとも渡すつもりはなかった。

最終版のファイルが私のスマートフォンに届くやいなや、私はすぐに悠楓に電話をかけた。

今回は珍しく、すぐに電話に出た。

「もしもし、どうした?」

「悠楓、私たち離婚するわ。二十分あげるから病院に来てサインして。そのまま役所に行って離婚届を出しましょう」

「こっちはせっかく休暇をもらったのに、何をバカなことを言ってるんだ!縁起でもない。話があるなら休みが明けてからにしろよ。わざわざ今、騒ぎ立てる必要なんてないだろ!」

「協議書はもう用意してあるから。あなたはサインするだけでいいわ」

そう言い残し、私は一方的に電話を切った。

離婚という道を選んだ以上、これ以上無駄なやり取りを続ける必要はない。

それからの一週間で、結月の足の怪我はすっかり良くなり、無事に退院の許可が下りた。

案の定、その間、悠楓は一度たりとも顔を出さなかった。

あの日、約束の二十分を過ぎて一時間待った時点で、私は彼の答えを悟っていた。でも構わない。離婚協議書にサインしないというのなら、離婚訴訟を起こすまでだ。

退院の日、彼はわざわざ病院まで私たちを迎えに来た。

「優芽、お前がいないこの一週間、俺が家でどんなひどい目に遭ったか分かるか?三食ずっとデリバリーだし、服を洗濯する人もいない。靴下は片方見つからないし、シーツも替えてないから、ベッドに横になるとカビ臭いんだぞ……」

「へえ、それで?それが私と何の関係があるの?」

そう吐き捨てると、私は背後で悠楓が何か喚いているのにも一切耳を貸さず、結月を連れて、迎えに来てくれた両親と共に振り返ることなく立ち去った。

家にいた頃は、私がどれほど家庭のために尽くしても、彼はそれを当然のこととして見て見ぬふりをしてきた。それなのに、たった一週間私がいなかっただけで音を上げ、また私を「都合のいい無料の家政婦」としてこき使おうなんて。

ふん、寝言は寝て言いなさい。

実家で一晩ゆっくりと休み、翌日、私は自分がサイン済みの離婚協議書を手に自宅へ戻り、彼にサインを迫ることにした。

自宅へ向かう前、伊藤先生からは「円満かつ迅速に離婚を成立させるためには、今は少しだけ感情を抑えてください。双方の署名が入った協議書さえ手に入れば、あとの手続きはこちらで一気に加速させられますから」と助言を受けていた。

そのために、私は堪え忍んだ。

その時、悠楓は書斎で仕事の処理をしていた。ドアを押し開けて入ると、ちょうど彼が、かつて見たこともないほど甘く優しい眼差しで誰かと電話をしているところだった。
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