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第296話

Auteur: 星柚子
水紀は、朗臣が自分の言いつけたことをやり遂げられなかったのだと分かっていた。だが、あの男の性格からして、たとえ失敗していたとしても、たとえ彼の身が危うい状況にあったとしても、必ず何とかして自分に連絡を取ろうとするはずだ。

それなのに、今は自分からは一切連絡が取れず、向こうからも音沙汰がない。

考えられる可能性は一つしかなかった。朗臣は、本当に自分に連絡できない状況に陥っているのだ。

まさか、死んだ?……いや、監獄に入った可能性もある。

水紀は知っている。朗臣の会社には、違法行為が少なからずあった。

いずれにせよ、朗臣はもう頼りにならない。

こんな状態で、今さらA国へ行って何になるというのか。北斗と高代から渡されたわずかな金を頼りに、かろうじて生き延びるのか?

「A国には行かない!」水紀は崩れ落ちそうように泣き出した。「お母さん、お願い……私を追い出さないで。ちゃんと言うことを聞くから、それじゃだめ?海市にも行かないし、お兄さんに付きまとうこともしない!」

高代は眉をきつく寄せた。

高代は分かっている。水紀を海外に出さず、このままここに留めておけば、いずれ必ず厄介な火種
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