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第3話

ผู้เขียน: ウリウリ
翌朝早く、純夏は階下の物音で目を覚ました。

リビングは見る影もなく様変わりしていた。

大切にしていた花瓶も、自分で編んだ毛布も、部屋の隅に放り出されていた。代わりに置かれていたのは、けばけばしい色使いの現代風のオブジェやラグだった。

その模様替えを指図していたのは、灯里だった。

五年ぶりに見る灯里は、相変わらず流行のブランド物を身にまとい、使用人たちにあれこれ命じていた。

「そう、あの絵も捨てちゃって。ダサすぎるでしょ!」

使用人は純夏に気づくと、困った様子で言った。

「奥様、こちらの灯里様が朝から人を連れていらして……旦那様のご了承を得ていると仰って……」

「分かってる。もう下がってていいわ」

灯里が振り返り、純夏を上から下まで眺め回した。そこには隠しもしない軽蔑の色があった。

「あら、奥様気取り?昔、トイレで押さえつけられ、泣きついて許しを請うていたときとは、ずいぶん違うのね」

純夏は何も言わず、ただ灯里を見つめていた。

その視線に居心地の悪さを覚えたのか、灯里が声を荒げた。

「昔みたいに黙っていれば、それで済むと思ってるの?いいわ!」

灯里はわざと純夏がいつも使っているクッションを床に投げ捨て、ヒールで踏みにじった。それから暖炉の前へ歩み寄り、飾ってあった克己との写真立てを掴んで床に叩きつけ、粉々にした。

純夏は、それでも黙ったままだった。

ついに苛立ちを募らせた灯里は、リモコンを掴んでプロジェクターを起動させた。

画面が明るくなる。映し出されたのは五年前、トイレの個室。縛られた純夏の前に、バケツを持った灯里が立っている光景だった。

「純夏、一位を横取りするのが好きなんでしょ?今日はきっちり思い知らせてあげるわ!自分の身の程をわきまえなさいよ!」

頭から冷水が浴びせられた。

ずぶ濡れになった純夏はみっともなく崩れ落ち、何度立ち上がろうとしても、そのたびに突き飛ばされた。

映像の中の、絶望しきった自分。得意げな灯里の顔。周りで無表情に、あるいは笑いながら見ている顔。

気づけば、純夏は拳を強く握りしめていた。

灯里は時折ドアの方をちらちらと見ながら、なおも挑発を続けた。

「見なさいよ、当時の自分がどれだけ惨めだったか、しっかり見なさいって!」

その望みどおり、純夏は大きく手を振り上げた。乾いた平手打ちの音と、扉が開く音がほぼ同時に響いた。

灯里の体が、勢いよく床に倒れ込んだ。

克己がすぐさま駆け寄り、灯里を抱え起こして背後にかばった。

「何をしてるんだ!」

灯里は赤く腫れた頬を押さえ、たちまち涙をあふれさせた。

「私はただ純夏さんに謝りたかっただけなのに……なのに……」

克己が純夏に向けた眼差しには、失望の色が滲んでいた。

「純夏、話せば済むことだろう。どうして手を上げるんだ」

純夏は弁解しなかった。ただ、じっと克己を見つめてから、視線を再生され続けているプロジェクターの画面へと移した。

克己もその視線を追った。

画面の中では、灯里がバケツを掲げ、冷水を浴びせている。びしょ濡れで床にうずくまる純夏の周りを、何人もの女子が囲んで笑い転げている。

克己の体が、目に見えて強張った。灯里を支えていた手が、無意識にほどけた。

純夏の目から、音もなく涙がこぼれ落ちた。

克己は胸が締めつけられ、涙を拭おうと手を伸ばした。

「ごめん、僕は灯里がこんなことをしたなんて……知らなかったんだ」

純夏は一歩下がり、その手を避けた。

克己の手が宙で行き場を失った。深く息を吸い、灯里の方へ向き直った。

「どうしてこんな映像を残していたんだ?しかも純夏の前で流すんだ!」

すると灯里は突然頭を抱えてしゃがみ込み、体を丸めて震え出した。

「叩かないで、怒らないで……私が悪かったの、ちゃんと分かってるから……」

まるでひどく怯えたように、灯里は激しく泣きじゃくった。

克己は本能的に膝をつき、灯里を抱き寄せて背中をさすった。「大丈夫だ、怖くない。僕がここにいるから」

純夏は、その光景を静かに見つめていた。

あまりにも、見慣れた光景だった。

この五年間、トラウマの記憶に心が崩れそうになるたび、克己はいつもこうして抱きしめてくれた。

わざわざ心理学の本で学んだのだと言っていた。それが安心感を与えるのだと。

今、克己は純夏に使っていたのと同じ抱き方で、灯里を慰めていた。

純夏は胸の奥を重いもので塞がれたようで、息をするのもやっとだった。

克己の肩越しに、灯里が投げてよこす勝ち誇った視線がぶつかった。純夏はもう意味のなくなった涙を、静かに指先で拭った。

最初から分かっていたことだ。挑発してから泣き崩れ、弱さを見せるまで、すべては克己に見せるための芝居に過ぎない。

それでもあえて挑発に乗って平手打ちをした。克己がどちらを選ぶのか、確かめたかったからだ。

そして、答えは出た。灯里が泣いた瞬間、克己は迷わず選んだのだ。

――本当に、くだらない。

純夏は身を翻し、階段を上っていった。振り返ることはなかった。

一時間後、克己が寝室のドアをノックした。

戸口から聞こえた克己の声には、疲れが滲んでいた。

「灯里がホテルに一人でいるのが、可哀想に思えただけなんだ。帰国したばかりで、まだ慣れていなくて。

ご両親は、僕を助けようとして亡くなったんだ。一生面倒を見ると約束した。

ごめん、純夏。分かってる、あんなことをすべきじゃなかった……」

「診療記録を見せて」純夏が言葉を遮った。

克己は面食らった。「え?」

「灯里の診療記録。世話をするなら、まず病状を知っておくべきでしょう。向こうでどんな目に遭ったのかも。そこから治療の手がかりが見つかるかもしれないし」

克己は、完全に言葉を失っていた。

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