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2 ずっと一緒に

Auteur: けいこ
last update Dernière mise à jour: 2025-08-27 12:42:16

「うん。こちらこそよろしく。俺、本当に……結菜ちゃんが好きだ。どんどん好きになっていく。初めてブログで見たあの日から、毎日毎日、気持ちが強くなっていくんだ。残念ながら、ずっと片思いだけどね」

祥太君の照れた顔にドキッとしてしまう。

「あ、ありがとう……。やっぱりすごく恥ずかしい。そんな風に言ってもらえるなんて……。だけど、嬉しいよ。本当に嬉しい」

「……うん」

「ごめんね、今はまだ……何とも言えなくて」

「大丈夫。俺、何度でも告白するから。でも、その度に結菜ちゃんを困らせてしまうけどね」

「祥太君……」

「俺は諦めの悪い人間だから。結菜ちゃんのこと、ずっと好きでいるから」

甘く囁きながら私を抱きしめたその腕は、とても力強くて守られている気がした。

そして、文都君はいよいよ最終学年。

あと少し……よくここまで頑張ったと感心する。

ずっと見守ってきた立場としては、とても感慨深い。

卒業して国家試験に合格すれば医師免許が取得できる。だけれど、そこから2年間は研修医として働きながら学び、院内の様々な科を回って勉強するそうだ。

内科、産婦人科、外科……

考えただけでもお医者さんになるのは大変だと思う。

何よりも尊いお仕事だ。

文都君に関しては、大学を卒業して、研修を終えたらペンション経営からは離れてしまうだろう。

もしかしたら、もっと早くお別れになる場合もあるのか……

そうなればとても寂しいけれど、こればかりは仕方がない。私が引き止めることはできない。

「結菜さん。僕は研修も一生懸命頑張って、2年間を終えたら、医者としてたくさんの患者さんを助けたいと思ってます」

「うん……そうだね。応援してるよ」

「……ペンションで頑張っているみんなのことを思い出して、僕も元気をもらって頑張るつもりです。そして、1日も早く自分の病院を持ちます」

「そうなったらすごいね!自分の病院だなんて、本当にすごい」

「僕は……内科医として個人病院をこのペンションの隣に建てます」

突然のまさかの告白にとても驚いた。

「と、隣に病院を?」

「はい、それが僕の夢です。結菜さんが叶えたみたいに、僕も夢を叶えます。だから待ってて下さい。僕は必ず立派な医者になります、そして……結菜さんの病気は僕が全部治します。もちろん、病気にはなってほしくないですけど……」

「文都君……本当に君は優しいね。優し過ぎるよ。うん、す
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