第306話

そう、元ルームメイトの清水美沙だ。

「晴香、どうしてこんなに痩せちゃったの？」清水美沙は晴香の手を握ったが、冷たくて氷のようだった。

「流産した後もちゃんと養生をしないと、後から病気の元になるって聞いたわ。あなた絶対に……」

晴香は「流産」という言葉を聞くと、眼光が鋭くなった。「誰が流産したって？」

清水美沙はぼうっとした。

「あなたこそ流産したわ！私は元気だよ！何の問題もないの！」

「晴香、あなた……」

「私を嘲笑いに来たのか？甘いわよ！」晴香は急に起き上がり、全身から警戒している気が溢れ出した。「私が落ちぶれたからって、誰でも踏みつけていいと思ってるの？」

「清水美沙、その同情ぶった顔をやめて。寮にいた頃、私が金持ちの彼氏ができたことに嫉妬しているのを、知らないと思ってるの？」

「言っておくけど、あなたと私とじゃそもそものレベルが違うわ。今は入院してるけど、私が手に入れたものは、あなたにとっては一生手が届かないものだわ！」

清水美沙は目を白黒させた。

彼女はなんで急に狂っていたのか、全く理解できなかった。

晴香は冷笑しながら言った。「私を見舞いに来たじゃなくて、私を通じて金持ちの社交界に接触したいだけでしょ？同じ穴の狢なんだから、演技をしても無駄よ。ちょっと嗅いだだけで、あなたのその貪欲の匂いがわかるわ？！」

「あなた――」清水美沙は怒りで頬を紅潮させた。「本当にわけがわからない！話が通じない！親切に見舞いに来たのに、そんなこと言うの？」

元々彼女は晴香に、今のうちに学校に復学申請を出すように、勧めようと思っていた。

名門に嫁ぐ夢は潰れたが、せめて学業に専念すれば、卒業後に仕事を見つけて、自立することは十分可能だ。

でも今の状況だと、全く必要ないようだった。

この人はすでにお金に目がくらみ、名利の深淵から抜け出せなくなっていた。

いや、彼女は全く出てくる気はなく、むしろ中で死にたがっている。

清水美沙は立ち上がった。「私たちの友情はここまでだ。同じ道を行く者ではないなら、これ以上一緒にいる必要はない。今後会っても、もう知らない人同然よ」

「ふん、誰があなたと一緒にいたいの？！あなたと知り合いたいと？！出ていけ——早く出ていけ——」晴香は彼女の背中に向かって大声で叫んだ。

清水美沙は振り返りもしなかった。

叫び終えると、