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第170話

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しかし、この光景が脳裏に浮かんだ瞬間、静真の心の中に言いようのない嫌悪感が湧き上がってきた。

正雄の好意を得るために月子が画策に乗って彼女と結婚せざるを得なくなったという事実が、彼を苛立たせていたのだ。

月子が自分をこれほど不愉快な気持ちにさせているのに、なぜ自分は彼女の部屋に来て、彼女のことを思い出しているんだ?

自分が何をしているのか自覚した途端、静真は滑稽な気分になった。

普通なら、月子に怒鳴り散らすはずだ。家を出るべきなのは自分ではなく彼女の方だ。月子はあの手この手で自分のご機嫌を取り、家に戻ってくるよう懇願するべきなんだ。

しかし、今は、自分が彼女のご機嫌取りをしたくないと思っていること以外は、全てが逆転している。

静真の心の中に言い表せないほどの怒りがこみ上げてきた。この怒りは月子に向けられたものだが、しかし、全てが彼女だけのせいではないような気がした……

この怒りは、現状が自分の制御からかけ離れてしまったこと、そしてそんな自分自身に対する苛立ちでもあった。

だが、それがどうしたって言うんだ?

結局、最初から最後まで、自分は一度たりとも月子のことを好きにな
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