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第26話

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予想通り、午後になると月子は静真からのメッセージを受け取った。

【5時半、山の麓で待っていてくれ】

本家は、郊外の空気が綺麗な山の上に建てられている。

帰るたびに、静真は月子に山の麓で待つように言い、車で迎えに行ってから一緒に本家へ向かうのが習慣だった。

静真が先に月子を迎えに行くのが一番便利だ。

しかし、静真は少し遠回りになるのを面倒がって、いつも彼女を待たせるようにしていたのだ。

午後5時20分。

月子は10分前に山の麓のバス停に到着した。

今日は一日中小雨が降っていて、山に近いせいか気温は街中よりも低く、夜が近づくにつれてさらに冷え込み、風も出てきた。

10分が経ち、月子の手足はすっかり凍えてしまった。

しかし、静真の車は未だ来ない。

仕方がないので、月子は待ち続けるしかなかった。

約5分後、車のライトが夜の薄い霧を突き抜け、彼女を照らした。

山中には入江家以外にも家がいくつかあるので、月子は目を凝らして車を確認した。

ベントレーだ。

静真はマイバッハに乗っているので、迎えの車ではない。

あまりに寒いせいか、月子は静真が時間通りに来てくれることを期
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