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第652話

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月子があんな風にサーキットで輝く人だったなんて……

一体どうして?

静真は重要な報告書に目を通していた。しかし、そこにびっしり書かれた文字は、今はただの空白に見えた。頭の中は月子のことでいっぱいだった。好きな料理を作ってくれたこと、病気の時は徹夜で看病してくれたこと、どんな時もそばにいてくれたこと……

いつも優しく、攻撃性がなく、自分の言いなりにしてきた、そんな女がサーキットを駆け抜けるなんてあんまりにも意外だった。

それに、一番身近な存在であった自分が、なぜ今まで何も知らなかったんだ?

何の問題もない報告書は、静真によって破り捨てられ、床に叩きつけられた。

彼はすぐに詩織を呼び出した。

内線電話を受けた詩織は、社長の声色から彼が怒っていることが分かった。そしてオフィスに入ると、社長の顔色の悪さと、凍りつくような視線に、思わず手を握りしめた。それでも彼女は平静を装い、彼の前に進み出た。「社長……」

彼女が口を開こうとした瞬間、静真は氷のような視線を向け、声を荒げた。「なぜサンの正体を調べられなかったんだ?」

詩織は全身が硬直し、頭を下げた。「申し訳ございません。私の不
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