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第918話

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それを聞いて楓はきょとんとした。彼女が天音について知っているのは、K市の人間だということだけだったからだ。

それに、そもそも興味もなかったから、以前、遥から天音の素性について聞いたことがあっても、ただの令嬢だという簡単なことしか耳に入れていなかったのだ。

楓もJ市では名家の令嬢で、立場は同等のはずなのだ。だから、天音は彼女に手を出してきたのも、K市という立地で天音の方が得していたからだと思った。でも今は、天音がJ市で一人でいるところを、偶然にも見つけた。なら、やり返さない理由なんてないじゃない、そう考えたのだ。

だからその事実を聞いた楓は、まず遥の方を見た。「遥、彼女が言ってること、本当なの?」

遥は内心の動揺を隠し、首を横に振った。「わからない。彼女が入江グループと関わりがあることしか知らないけど」

楓は、その場で月子を鼻で笑った。「嘘つくんじゃないわよ。こいつが隼人と関係あるわけないじゃない。隼人に妹がいるなんて、聞いたこともないんだから!」

天音が入江グループと関係があるからって、何だっていうの?

名家には子供なんてたくさんいるもの。どうせ、可愛がられていない子に決
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    洵にバレるのは、家に遊びに来た時だろうと思っていたのに、まさか結衣の家の前で会うなんて。しかも、さっき洵が言ったこと、家の前で起きたんだから結衣も聞いていたに違いない。だから、ここで洵に弁解するわけにもいかない。とにかくその場を離れよう。あとで結衣が何か勘ぐるかどうかは、隼人に任せればいいのだ。ただ、今のところ、結衣は何も気づいていないようだ。月子はこんなにうまくいくとは思ってもみなかった。結衣の鋭い目をごまかせるなんて。同棲しているという事実は、確かに説得力がある。ただ、結衣と面と向かうのもある種の試練でその結果が良好だったから、月子もこのまま恋人の振りを続けられたのだ。

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