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第376話

Author: タマタツ
絃葉は顔を上げ、景を見つめた。

「どうしたの?」

景の瞳に一瞬、暗い影がよぎった。

それでも、声は優しかった。

「何でもない。君は、自分の好きなことをすればいい」

絃葉は彼の胸にもたれ、いたずらっぽく笑った。

「愛する人と......愛し合うこと?」

景は数秒間、意味が分からずに固まった。

やがて彼女が自分をからかっているのだと気づくと、沈んでいた気持ちが一気に揺れ動いた。

「したい?」

絃葉は顔を上げ、彼の首へ腕を回した。

彼女の位置から見える景の唇は、赤みを帯びて柔らかそうで、思わず触れたくなる。

絃葉はわずかに背伸びをし、その唇へ軽く口づけた。

「うん」

景は満足そうに口元を上げると、彼女の体を抱き上げて寝室へ向かい、ベッドの上へ優しく下ろした。

両手を絃葉の左右につき、肩を落として顔を近づける。

「......いいのか?」

絃葉は笑いをこらえながら、期待を胸に目を閉じた。

「うん」

景は部屋の照明を消し、ドアのそばにある小さな明かりだけを残した。

顔を伏せ、白く滑らかな肌と、枕の上へ自然に広がる長い髪をじっと見つめる。

喉仏が小さく上下
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