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第1014話

Author: キラキラ猫
凛はその場から動かなかった。

「早く乗って。後ろ、つかえてるから」

蓮に急かされてもまだ迷っていると、後ろの車からクラクションを鳴らされた。

凛は仕方なく助手席に乗り込んだ。

蓮はすぐに車を出し、そのまま凛のマンションへ向かった。

「送らなくていいのに。すぐそこだし、歩いて帰れるから」

「まだ蚊いるぞ。刺されると跡残るだろ」

十月とはいえ、蚊はまだ多かった。

凛は虫刺されの跡がなかなか消えない体質だった。

凛が黙っていると、蓮が続けた。

「ニンニクの芽がだめなの、まだ覚えてたんだな。ちょっと嬉しかった」

「……それくらいは覚えてるわよ」

凛は小さくつぶやいた。

付き合っていた頃は、毎日のように一緒にいた。

蓮の好きなものも、苦手なものも、いつの間にか覚えていた。

もう忘れたつもりでいたのに、さっきも蓮がニンニクの芽を口にしようとした瞬間、考えるより先に手が動いていた。

二年も離れていたのに、こういうことはまだ忘れていなかった。

本当に何も気にならなくなるには、もっと時間がかかるのかもしれない。

いつか二人とも別の相手と結婚して、それぞれ家庭を持つよう
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