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第389話

Author: キラキラ猫
遥は軽く首を横に振った。

「実を言うと、あの頃は辛いなんて感じる余裕すらなくてね。

もしかしたら、人間って極限の苦しみの中にいると、自己防衛本能が働くのかもしれないわね。

毎日お父さんの病気のことばかり心配して、結衣のことにまで気が回らなかったの」

お腹の中での発育が十分ではなかったせいか、結衣は生まれつき体が弱く、小さな持病をいくつも抱えていた。

季節の変わり目には必ず体調を崩す。

激しく泣いたり、体に小さな傷ができただけでも、高熱を出してしまう。

食べてはいけないものも多く、アレルギー検査の結果が出た時、そのリストは手から床に届くほど長かった。

遥にとって、初めての子育てだった。

結衣が初めて熱を出した時、医者からは薬を使わずに物理的に熱を下げるようにと言われた。

その夜、遥は一睡もできなかった。

二、三分おきに目を覚ましては、熱を測り続けた。

自責の念、焦燥感、そして不安が、遥の心に渦巻いていた。

「正直に言うと、結衣がいてくれて本当に感謝しているの。

あの子が生まれてからは、悲しんだり落ち込んだりしてる暇なんてなかったわ。

私とお母さんで、ずっとあ
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